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中国、独と自動運転で協力 対米貿易摩擦を意識

メルケル首相、11回目の訪中

【北京=高橋哲史、ベルリン=石川潤】中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は24日、訪中したメルケル独首相と北京の人民大会堂で会談した。両首相は世界的に開発競争が激しさを増す自動運転の分野で、協力を強化することで合意した。トランプ米政権との貿易摩擦を意識し、ドイツなど欧州勢の取り込みに動く中国の姿勢が鮮明になっている。

李首相は共同記者会見で「興隆する新たな科学技術革命に両国で一緒に向き合いたい」と表明した。具体的には自動運転の分野を挙げ「自動運転車の製造を手がける独メーカーの対中投資を歓迎する」と語った。

2005年の首相就任後、11回目の訪中となったメルケル氏は「自動運転分野で中国との交流を深めたい」と応じる一方、「独企業を中国企業と対等に扱ってもらいたい」と注文もつけた。メルケル氏はその後、習近平(シー・ジンピン)国家主席とも会談した。

中国は人工知能(AI)を駆使した自動運転技術の開発に国を挙げて取り組んでいる。北京市近郊に35年までにつくる習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りの未来都市では、個人の乗用車をすべて自動運転にする計画だ。

自動運転とそれに欠かせないAIの開発に力を注ぐドイツにとって、膨大なビッグデータと巨大な市場を併せ持つ中国との協力は魅力的だ。メルケル氏は25日にハイテク産業が集積する広東省の深圳を視察する予定で、中国との最先端分野での連携に意欲を示す。

李首相は記者会見で「われわれは自由貿易の規則を守り、貿易の自由化を促進すべきだと主張している」とも強調した。トランプ政権が23日に自動車や自動車部品に追加関税を課す検討に入ったことを意識した発言とみられる。ハイテク分野でドイツとの協力を強化し、米国に対抗する狙いがうかがえる。

両首相はイラン情勢を巡って、米国が離脱した現在の核合意を支持する考えでも一致した。

ただ、ドイツ国内には中国に進出した独企業にかけられる技術移転を求める圧力や、中国当局による活発なスパイ活動に根強い不満がある。貿易やイラン核合意の問題でドイツはトランプ政権と対立するが、米国と距離を置いて中国に接近するという考え方には慎重な意見が多い。

中国の人権問題も、両国の間に立ちはだかる壁になっている。メルケル氏は李首相との会談で、10年にノーベル平和賞を獄中で受賞し、昨年7月に亡くなった民主活動家の故劉暁波氏の妻、劉霞さんの出国を求めたとみられる。劉霞さんは北京の自宅で軟禁状態に置かれている。

共同記者会見で独メディアがこの問題について質問すると、中国国内のテレビ中継はすぐに打ち切られた。ロイター通信によると、李首相は「中国は法とその執行機関の判断に基づく行動を尊重するが、同時に人道主義も尊重しなければならない」と答えた。

メルケル氏は「この問題について、両国は年末までに協議する」と述べるにとどめた。さまざまな矛盾を抱えながらも、巨大になった中国と良好な関係を保たざるを得ないジレンマ。ドイツだけでなく、日本にも共通する課題だ。

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