2019年6月19日(水)

勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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温故知新 W杯名勝負に見る超一流選手の存在感

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2018/5/25 6:30
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サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の開幕(6月14日)が近づいてきた。出場各チームは本大会に臨む23人の名前を次々に発表し臨戦態勢を整えている。日本代表もガーナとの30日の壮行試合(日産スタジアム)を終えると、翌31日に大会に登録する23人の最終メンバーを明らかにする。月が変われば世界のサッカーシーンはW杯モードに一気に入っていくのだろう。

私の方は実は一足先にW杯へのスイッチが入ってしまった。というのも、このところNHKの仕事で、W杯の過去の名勝負を紹介するテレビ番組の案内役として収録を続けていたからだ。放送はロシア大会直前になるが、ぜひともご覧いただきたい。オールドファンならずとも必見、感涙の番組になっていると自信を持っていえる。

ベッケンバウアー、クライフ…色あせない名手たち

放送されるのは、1970年メキシコ大会準決勝の西ドイツ(当時)対イタリア、74年西ドイツ大会決勝の西ドイツ対オランダ、78年アルゼンチン大会決勝のアルゼンチン対オランダ、そして82年スペイン大会準決勝のフランス対西ドイツの4カードである。

どのカードも歴史に残る名勝負ばかり。日本代表時代に同じ釜のメシを食べた木村和司さんらと解説を務めたが、普段は辛口の木村さんも「すごいなあ」を連発。西ドイツの「皇帝」と呼ばれたフランツ・ベッケンバウアー、「空飛ぶオランダ人」と呼ばれた革命児ヨハン・クライフ、フランスの「将軍」ミシェル・プラティニら名手のプレーは今見てもまったく色あせていない。

もちろん、戦術その他に時代の移ろいは感じる。70年大会の西ドイツとイタリアの延長戦の死闘(4-3でイタリアの勝利)は試合中に肩を脱臼したベッケンバウアーが包帯でぐるぐる巻きに固定して戦い続けた勇姿が語り草だが、両チームの戦い方はフルサイズのマンツーマンで互いに付き合い、マークする選手が動くと付いている選手も一緒になって動くのでシステムとかはあまり関係がない。ボールを持つ選手とマークに付く選手は走っているけれど、周りのプレーヤーはそれを歩きながら見ている感じ。メキシコの高地と酷暑が選手にそういう戦いを強いた部分はかなりあったにしても……。

それが74年大会になると劇的に変化する。オランダが後に「トータルフットボール」と呼ばれる全員攻撃、全員守備のシステマチックなプレーモデルを持ち込んだことが大きな動力になった。そんな中でクライフの自由自在、奔放な動きは鮮烈で、ベッケンバウアーよりもクライフこそ「リベロ」(イタリア語で自由の意味)ではないかと今回思ったほどだった。

革新的オランダに負けない西ドイツの技量

そんなオランダに対して西ドイツがピッチを広めに応戦したのはさすがだった。この大会のオランダのコンパクトに陣形を圧縮するグループ戦術は革新的で、誰も味わったことがないから、あのブラジルでさえオランダの強烈なプレスとそれに連動したオフサイドトラップに沈められた。

ところが西ドイツはそのプレスにたじろがない個性と技量の持ち主をそろえていた。その厳しい局面のバトルに誰も負けないのだ。ベルティ・フォクツのようにクライフのマンマークを命じられ、闘犬のように食い下がりながら、突如ゴール前に現れてシュートを放つDFもいる。このあたりの「言われた以上のこと」を「タイムリー」に仕掛けてくる西ドイツの選手の戦術理解力は完全に今につながるものだろう。

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