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音声AIでどう稼ぐ 後発グーグル、必死の模索

(更新)
CBINSIGHTS
「ポスト・スマホ」の本命と言われるAI(人工知能)スピーカー。まだ日本ではなじみが薄いが米国の「テック・ジャイアント」が競って開発に力を入れている。その中で意外にも出遅れたように見えたのが米グーグルだ。同社は検索で築いた情報技術(IT)の覇権をAIスピーカーで失うのか。そうならないために急ピッチで巻き返しに向かっている実態が浮き彫りになってきた。

グーグルは2016年に音声認識ができるAIアシスタント「グーグル・アシスタント」をリリースして以来、米アマゾン・ドット・コムや米アップルなどのIT大手と優れたAIアシスタントの開発にしのぎを削ってきた。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しました。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載します。

グーグルはライバル各社よりも数年遅れてこの分野に参入し、追い付こうとしてきたが、少なくとも性能の面では飛躍的な進化を遂げているようだ。

実際に市場でも勢いを増しつつある。17年10~12月期の世界のAIスピーカー市場でのグーグルのシェアは36%で、前年同期の9%から急上昇した。一方、アマゾンは前年同期の88%から52%に下がった。まだまだアマゾンがリードしているが、グーグルがその背中に迫っているといえるだろう。

5月8日、AIの有用性を訴えるグーグルのピチャイCEO(カリフォルニア州マウンテンビュー市)

グーグルはこのほど、グーグル・アシスタントのアップデートとともに、ユーザーの代わりに電話をかけて話せる音声システム「Google Duplex(グーグル・デュプレックス)」も発表した。

この技術は音声AIの開発競争が新たな段階に入ったことを示している。

デュプレックスはレストランの予約など、日常生活でよくある用事をユーザーの代わりにこなすことができる。

グーグルが17年に類似の技術で特許を申請した際の資料だった次の図は、こうしたやりとりを単純化した場合の概略だ。

とはいえ、まだデュプレックスがこなせることは予約などに限られる。複雑で理解できない場合には、自ら不可能だと判断し、人間に作業を完了してもらうようサインを出す仕組みだ。

グーグルによる下記の図は、デュプレックスはグーグル・アシスタントの代わりではなく、延長であることを示している。

グーグルは今夏にデュプレックスの試用版をリリースする。米国内だけで展開するのか、海外にも拡大するのかはまだ明らかにしていないが、インドやブラジルではデジタル化があまり進んでおらず、お店への問い合わせなどは電話が使われることが多い。グーグルがこうした市場でデュプレックスを発売しても不思議ではない。

グーグル幹部、AIに強い関心

グーグルがAIに力を入れていることは、同社幹部の発言からもはっきりと裏付けられる。グーグルが決算説明会でAI関連製品に言及した回数は16年後半に急増し、それ以降も高い水準を維持している。昨年はやや減ったものの、18年1~3月期には再び増えた。

決算説明会でのAI、機械学習、グーグル・アシスタントへの言及回数

アマゾンの「アレクサ」やアップルの「Siri(シリ)」、マイクロソフトの「コルタナ」といったAIで処理される質問が、グーグルの主な収入源である検索の強みを脅かしている。そう考えると、グーグルがAIアシスタントや、その発展につながるAIと自然言語処理を重視しているのも当然だろう。グーグルにとってAIアシスタントは今や、検索と並ぶ最優先事項と言えるようだ。

実際、グーグルの親会社である米アルファベットが17年末に開いた決算説明会で、スンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は検索とグーグル・アシスタントがグーグルの事業の「柱」だと説明した。具体的には、機械学習の性能を高め、グーグル・アシスタントに資金を投じるために、設備投資費を増やす方針を明らかにした。

グーグルのAIスピーカー「グーグルホーム」

一方、ここ数年は音声AIを強化するため、M&A(合併・買収)も進めている。グーグル・アシスタントとグーグル・ホームのエコシステム(生態系)を拡充することが目的だ。その一部は次の通り。

・自然言語対話プラットフォームの米API.aiを買収(16年9月)。API.aiはグーグルのボット作成サービス「Dialogflow(ダイアログフロー)」の一翼を担っている。

・スマート温度コントロール(サーモスタット)を手掛ける米Nest labs(ネストラボ)を買収(14年2月)。

・様々なスマートホーム技術をモバイルアプリに集約するサービスを提供していた米Revolv(リボルブ)を買収(14年10月)。ネストと合併させるのが買収の狙いだったが、16年にリボルブのサービスを終了した。

・あらゆるモノがネットにつながる「IoT」製品の開発プラットフォームXively(ザイブリー)を米LogMeln(ログミーイン)から買収(18年2月)。

グーグルはさらに前進し、グーグル・アシスタントと検索の操作性を向上させたいと考えている。

ピチャイ氏は17年10~12月期の決算説明会で、これらの操作性にはまだ改善の余地があると発言した。「ユーザーにきちんと対応できず、期待に沿えていない部分がある」と自ら認めている。デュプレックスが提供する電話予約サービスなど、音声アシスタントでユーザーの仕事を成し遂げるサービスを増やすのも、改善の一環だ。

グーグルはデュプレックスに加え、グーグルアシスタントの最新機能も発表した。主な特徴は次の通りだ。

・アンドロイド端末で食品を注文:アンドロイド端末で食品の配送や店頭受け取りを注文できるようになる。注文履歴やお気に入りも記憶してくれる。

・指示を出しやすく:前回のコマンドから8秒以内なら、合言葉の「OK、グーグル」を言わなくても連続して指示を出せる。

・マナーの指導:小さな子どもに丁寧な言い方を教える新機能「Pretty Please(プリティ・プリーズ)」をグーグルホームに導入。グーグルホームは適宜「~してください」や「ありがとう」と言われた場合にだけ反応する。

・新たな音声の追加:グーグルアシスタントに6つの新たな音声が加わる。その一つは有名歌手のジョン・レジェンドさんの声だ。新たな声はより人間らしくなる。

音声は新たなユーザー・インターフェースとして台頭しつつある。ただ、この分野で広告や課金システムが構築されるとすれば、どんな仕組みがうまく行くのか、まだ手探りの状態だ。音声検索をどう収益化するのか。グーグルが模索しているであろう解がどのようなものか、興味深いところだ。

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