産業用ロボット、17年の受注額最高 27%増の9447億円
日本ロボット工業会(東京・港)は23日、2017年の産業用ロボットの受注額(会員、非会員の合計)が前年比27.8%増の9447億円になったと発表した。06年を上回り、11年ぶりに過去最高を更新した。中国向け輸出が5割増えた。中国政府は自国のロボット産業の育成に力を入れており、今後は日本勢との競争が激しくなる。
出荷額は25.1%増の8956億円だった。輸出額が31.1%増えて6493億円、国内出荷額が11.6%増の2462億円と内外ともに活況だった。輸出の中でも中国向けが49.0%増の2599億円と特に高い伸びを示した。
23日に都内で記者会見を開いたロボット工業会の冨士原寛専務理事は中国向け輸出が増える背景として「国家戦略にロボットが(普及・育成を目指す産業として)位置づけられている。そこに実際にお金がまわり始めているのかなと思う」と話し、補助金等の支援が中国のロボット需要を押し上げているとの見方を示した。
日本メーカーは高い動作精度や耐久性を武器に中国で販売を伸ばしているが、中国政府も国内ロボットメーカーの育成を急いでいる。17年には産業用ロボット世界4強の一角、独クーカを中国の家電大手、美的集団が買収した。自律的な技術の蓄積にM&A(合併・買収)を組み合わせており、日本勢は中国の技術力の向上を警戒している。
冨士原専務理事は中国ロボットメーカーの技術レベルの底上げには「まだかなり時間がかかるのではないか」との見方を示した。一方で「(クーカの買収で)いずれ技術が移転をされることがあると思う。ハイエンドで特殊なものを作る力がつくだろう」と話した。
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