ソニー社長「過去10年、仕込み不足だった」

2018/5/23 20:00
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ソニーの吉田憲一郎社長は23日、前日の中期経営計画発表を受けて日本経済新聞などの取材に応じた。「過去10年、やや仕込みが足りなかった」と振り返り、革新的な製品やサービス開発に向けた基礎的な取り組みを重視すると強調した。合理化をテコに最高益を出すまでに回復した体力を生かし、人工知能(AI)や自動運転といった成長分野での新事業創出を目指す。

吉田社長は「自分の在任期間で成果が出ないことをやるのは経営の重要な規範だ」と述べ、長期的な取り組みの重要性を強調した。背景にあるのは近年の経営に対する反省だ。

ソニーの吉田憲一郎社長はAIなどを成長分野に据える

ソニーの吉田憲一郎社長はAIなどを成長分野に据える

2018年3月期に営業利益で過去最高を計上したが、更新には実に20年を要した。しかも原動力は不採算事業の切り離しなど後ろ向きの取り組みだ。

この間、革新的な商品といえば犬型家庭用ロボット「aibo」ぐらい。テレビやスマートフォン(スマホ)といった既存商品の改良に終始した。収益を生み出すまでに時間がかかりそうな案件は後回しになり、次を見据えた研究開発は不足した。

今後は3年間で生み出す予定の営業キャッシュフロー2兆円を活用し、顧客データの蓄積や活用を進める。ソニーはゲーム機事業で月8000万人の利用者を持つ。規模では米グーグルなどにかなわないが、分野が異なることを生かして「いかに土俵をずらせるか」(吉田氏)に知恵を絞る。

保険など金融事業の営業データも含め、AIも使って顧客の属性や行動を分析すれば新たなビジネスにつながる可能性がある。開発中のタクシー配車アプリなどを通じデータの収集範囲も広げる。

「モビリティー(移動手段)」関連も長期の注力分野だ。自動運転の目となるセンサー開発に磨きをかけるのに加え、「今後のモビリティーを考える上での基礎データ」(吉田氏)を分析して事業機会を探る。次世代高速通信技術「5G」も「あらゆる商品に影響する可能性がある」(同)と重視する。

ソニーの株価は中計発表から2日連続で下落した。明確な営業利益目標を設定しなかったこともあり、成長戦略が見えにくいとの反応は「ある程度織り込み済みだったはず」(関係者)。最高財務責任者(CFO)時代に市場関係者から高く評価された吉田氏の戦略が今回も正しいのか、あるいは市場の反応が正しいのか。実績で証明するしかない。

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