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マレーシア財政深刻に 高速鉄道見直しも 資本流出懸念

【シンガポール=中野貴司】マレーシアの債務が公表値を大幅に上回る規模だとわかり、マハティール新政権は新たな課題を抱え込んだ。財政再建のため高速鉄道計画などの見直しを迫られる可能性もある。財政の健全性をはかる基本情報の信ぴょう性が揺らぎ、海外投資家による資金引き揚げも懸念材料となる。

記者会見でリム・グアンエン財務相は「公になっていなかったファイルがあった」と指摘。実態を洗い出し、債務の整理を進める考えを示した。

マハティール氏が率いた希望連盟は総選挙のマニフェスト(政権公約)で、消費税の廃止や高速道路の無料化、燃料補助金の復活を掲げた。これらはいずれも財政の悪化につながる政策で、市場関係者からはリスクも指摘されていた。

実際、新政権の発足直後に歳入の2割弱を占めていた消費税の廃止を決めると、「徴税の基盤が縮小し、財政の健全性を損なう」(格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス)といった声が出た。加えて、債務が従来の公表値より大幅に増えることで、新政権の財政運営に対する市場の視線が一段と厳しさを増すのは間違いない。

新政権は23日までに、政府系ファンド「1MDB」の救済のため、約70億リンギ(約1900億円)の政府資金が流用されていたことも明かした。1MDBはナジブ氏やその周辺による不正な資金流用疑惑の舞台となったファンドだ。ナジブ前政権は1MDBが自らの経営合理化で利払い費などを捻出したと説明していたが、こうした説明は虚偽だった可能性が濃厚だ。

不正流用などで傷んだ財務のつじつまを合わせるため、ひそかに国のお金に手をつける。ナジブ氏が財務相を兼務していた前政権の汚職体質の根深さが浮かぶが、1MDBへの資金流用も氷山の一角とみられる。

マハティール首相は前政権の不適切な財政運営の全容解明を急ぐとともに、23日には閣僚の給与を10%削減するとも表明した。財政改善の一環だが、この程度では焼け石に水だ。クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道や東海岸鉄道など大型のインフラ整備計画を見直し、経費を大幅に削減する必要が今後、出てくる可能性がある。

公表値を基にした国際通貨基金(IMF)の推計によると、マレーシアの国内総生産(GDP)比の政府債務比率は54%と、いまでも東南アジア各国の中では相対的に高い。実態把握の結果、比率が大幅に高まれば、周辺国のインドネシア(29%)やタイ(42%)などとの差はさらに開く。

詳細がまだ明らかでないこともあり、いまのところ市場に目立った動きはない。ただ、前政権のうみが今後さらに出てくれば、財政悪化への懸念から通貨リンギ安や株安が進む可能性はある。

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