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トルコリラ、下げ足速める 経常赤字と政治リスク

【イスタンブール=佐野彰洋】中東の新興国トルコの通貨リラが下げ足を速めている。23日の対ドル相場は一時1ドル=4.92リラに下がり、過去最安値を更新した。下落率は週初より9%弱、年初に比べると約23%に達した。米国の長期金利上昇や国債増発観測から新興国で全般に資金流出の動きがあるなか、トルコは巨額の経常収支赤字と政治リスクを抱え、格好の標的になっている。

トルコのエルドアン大統領は利上げに乗り気でない(18日、イスタンブールの両替商)

「6月の選挙後に(トルコの金融・経済)政策立案に関する自由な裁量や予見性が圧力にさらされる可能性が高まっている」――。直近の急落のきっかけは、大手格付け会社フィッチ・レーティングスが22日に発表した、この声明だった。

トルコでは6月24日に大統領選と国会議員選が予定されている。

エルドアン大統領は訪問先のロンドンで14日、再選されれば中銀への統制を強める考えを示唆した。これを受け、フィッチは、トルコにおける中銀の独立性が一段と損なわれ、同国国債の信用低下につながる懸念があると表明した格好だ。

リラ急落の影響は日本の個人投資家にも波及している。高金利を目当てにリラ買い・円売り取引に関わっていた外為証拠金(FX)の投資家は多額の損切りを迫られたとみられる。これで23日にリラ売りが膨らんだ。

15年間にわたり国政のトップに立つエルドアン氏は国内で非常事態宣言を維持し、強権統治を続ける。2019年11月に予定されていた大統領選と国会総選挙を急きょ前倒しした。再選を果たしたうえで、17年の国民投票で承認された憲法改正に基づく、大統領権限の拡大を目指している。

通貨下落を抑えるには利上げが特効薬だが、金融引き締めを嫌うエルドアン氏は乗り気でない。中銀はエルドアン氏の圧力を受けている。4月下旬にはやっと政策金利を年0.75%引き上げ、13.5%としたが、この程度の上げ幅でリラ売りを止めることはできない。

中銀は16日に「必要な手段を講じる」という緊急声明を出して追加利上げを示唆したが、その後もリラ安を事実上、放置している。それが失望売りを呼んでいる。

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