2019年6月25日(火)

守・破・離への道(岡田武史)

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FC今治、宿願のJ3昇格へ勝負の年

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2018/5/28 6:30
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原則に基づいて行う指導には教える側にもメリットがある。たとえば、自分たちの試合を分析する際に「プレーモデルに対してどうだったのか」というゲームを見る"目"を与えてくれる。そこからいろいろなヒントを引き出して、チームと選手を伸ばしていく練習に役立てることができる。

私の知っている範囲ではバイエルン・ミュンヘンにもそこまで詳細なプレーモデルはないらしい。FCバルセロナは間違いなくあると聞いている。だからあのクラブはどんなに監督が変わっても、プレースタイルに共通の基盤があるように感じるのだろう。それはバルセロナというクラブに独自の哲学があることを意味している。

バルセロナの足元にも及ばないが、FC今治も実現したいサッカー(哲学)がある。そのためには「こういうプレースタイルでやろう」となって、そのスタイルを実現させるための原則としてプレーモデルをスタッフとともに議論し、実際にトレーニングで子供やトップチームに試しながら、一から構築してきたわけである。

おかげで、育成の練習を見ていたら、ユニホームを着ていなくてもすぐに「今治の子だな」とわかるようになってきた。トップチームのJFLの試合でもそうだ。サッカーを見始めた人でも、なんとなくでも「今治は他のチームとどこか違う」ということがわかっていただけると思う。

断っておくと、うちのクラブはバルセロナのマネをしているわけではない。どうやったら日本の選手はワールドカップ(W杯)のような国際舞台で勝てるのかを考えて、それには攻守にわたって局面局面で瞬時に数的優位をつくるしかないと考えて、今治発で実験しているだけだ。我々のやり方が絶対正しいかどうかはわからない。

春に日本サッカー協会の副会長職を辞めたのは肉体的にきついと感じることが増えたからだった。JFAの会長選挙の在り方をめぐり、国際サッカー連盟(FIFA)との交渉役までやることになるとは思ってもみなかったので本当に大変だった。

副会長を辞めて、FC今治の仕事もある程度は周りに任せて、駆け足の人生のスピードを少し緩めたかったのだけれど、上海で進めていたメソッド絡みのプロジェクトがつぶれてしまい、その穴埋めにさらに奔走する羽目になった。メソッドに対する中国サッカー界の関心は強く、6クラブくらいから引き合いがあった。その中で既に契約済みの杭州緑城と条件がかぶらない上海の会社をパートナーに選んだら、向こうのごたごたに巻き込まれておじゃんになったのだった。

死に物狂いで乗り越える覚悟

今までは調子に乗って強気、強気できたけれど、今年は経営者として勝負どころだと思っている。本当に死に物狂いで乗り越えないといけない。ベンチャーは起業から5年以内で9割がつぶれるというが、この1年を乗り越えられたらFC今治もある程度の目鼻がつくと思っている。

J3に上がったら、次に視野に入るのはJの仕様に耐えうるスタジアムの建設計画になる。今治で1万~1万5千人収容のスタジアムを建設し、しかも、健全に運営していくとなったら、スタジアム単体では難しいと思っている。試合日以外もにぎわいのある場所にするための用意周到なプランを練っていかなければならない。そんなことを四六時中、考えているせいか、J3に上がることが今の私には一番簡単そうに思える。

(FC今治オーナー、サッカー元日本代表監督 岡田武史)

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