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データで迫る 大谷翔平の「二刀流」(2)

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2018/5/31 6:30
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 米大リーグで投打の「二刀流」に挑むエンゼルスの大谷翔平が躍動しています。日経電子版は5月14日、東京・大手町で「大谷翔平、なにがすごい!? データで分析」と題したセミナーを開催。野球選手の動作解析を研究している国学院大学准教授の神事努さんと、電子版スポーツで「拝啓 ベーブ・ルース様」を連載しているスポーツライターの丹羽政善さんが大谷の特徴や可能性について話し合いました。5回に分けて掲載する内容の2回目になります。記録はセミナー開催時点のものです。

神事 大谷のボールの変化量をみてみましょう。大リーグの投手の平均値をグレーで示しています。大谷のフォーシーム(速球)が赤、フォークボール(スプリット)は青、スライダーはオレンジ、カーブは緑でそれぞれ示しています。フォーシームの縦の変化量は大リーグの平均値が45センチなのに対し、大谷は41センチでした。

(C)Nextbase Corp.

(C)Nextbase Corp.

丹羽 大谷のフォーシームは速いのですが、大リーグ平均と比べてもわずかな差しかありません。

神事 サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)に3度輝いているドジャースのクレイトン・カーショーの場合、(無回転のボールが通過すると仮定した地点と比べ)縦の変化量が60センチほど、平均値よりボール2個分ほど上の軌道にいきます。日本のプロ野球選手だとデニス・サファテ(ソフトバンク)、松井裕樹(楽天)が浮き上がるようなボールを投げています。大谷は大リーグ平均をわずかに下回っていますので、相手打者がバットに当てられる原因の一つと考えられます。

丹羽 打者は投手のボールの平均値を感覚で捉えています。ですから、大谷のボールは速いのですが、打者にとって軌道そのものにおそらく驚きはないのですね。

神事 そうですね。「ホップ成分」が増えれば、打者が空振りする割合は増えていきます。

(C)Nextbase Corp.

(C)Nextbase Corp.

丹羽 実際にボールが打者の手元で浮き上がることはありませんが、打者が感覚として捉えている平均値を上回れば上回るほど、バットはボールの下の軌道を通る確率が増えます。それで打者にはボールがホップしているようにみえるわけです。

丹羽 4月24日のアストロズ戦。大谷のボールの最速は101マイル(約163キロ)。あの日は速かったですよね。ただ160キロを超えるボールであるにもかかわらず、打者がバットに当てているんですね。あの日に限っていうとボールのリリースポイントが本来の位置より三塁側に寄って下がっていました。ですが、5月6日のマリナーズ戦では本来の位置に戻っていました。その話を大谷に聞いたら、それに気づいて修正していたそうです。リリースポイントが高い位置であればあるほど、ボールにきれいなバックスピンがかかりやすくなります。

丹羽 アストロズ戦ではボールは速いものの、回転軸がずれてバックスピンに少し別の回転が混ざっていました。大谷もエンゼルスもこれまでとの違いに気づいたからこそ、マリナーズ戦で修正したのでしょう。オープン戦で初めて登板したとき、相手打者が「ボールが動かない」と口をそろえました。初めて見たボールでも、変化量が大リーグの平均値に近いため、打者は見慣れているように感じていたといえます。

神事 平均値から大きく外れているかが非常に大事なところです。先ほどのカーショーらに比べて、大谷は"平凡"なボールを投げていたかもしれません。

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