/

米男子ゴルフ、強烈な個性で輝くフィナウ

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

20日現在、男子ゴルフの世界ランキング上位の顔ぶれが紛らわしいことになっている。

トップから順にジャスティン(・トーマス=米国)、ダスティン(・ジョンソン=米国)、ジョーダン(・スピース=米国)と同じような名前が並ぶ。10位以内を見ると、ジョン(・ラーム=スペイン)、ジャスティン(・ローズ=英国)、ジェイソン(・デー=オーストラリア)らが続く。

正確には7位以内に「J」で始まるファーストネームが5人。ファーストネームの最後が「ティン」で終わる選手が3人。なんとも奇遇である。

それでも彼らの名前がそれぞれ認知されているのは、実績に尽きる。世界ランク上位に食い込むには勝つことが必要。しかも、定期的に。そうすることで広く知られるようにもなる。名前が似ていたとしても、間違えられることもない。

もっと注目されてもいい

ただ、ランキングを眺めていると、彼ら以外にも名前を見ただけで、プレーが思い浮かぶような強烈な個性を持ち、忘れようにも忘れられない選手が少なくない。

20日現在、34位のトニー・フィナウ(米国)はそんなインパクトのある選手の一人。一般にはあまり知られていないかもしれないが、もっと注目されてもいいし、リスペクトされてもいい。

193センチという大柄の体。それでいて、身体能力に優れ、そのパワーには目を見張る。今日、ドライバーで300ヤードを飛ばす選手は少なくないが、フィナウはスリークオーターショットで楽々とその飛距離を稼ぐ。規格外という言葉がこれほどしっくりくる選手も少ない。

もっとも、今でこそツアーのメンバーに定着しているが、ここまでの道筋は決して平たんではなかった。

いとこに米プロバスケットボールNBAのミルウォーキー・バックスで活躍するジャバリ・パーカーを持つ彼は高校時代、バスケットで活躍し、大学から奨学金のオファーをもらうほどだったという。それを断って、高校を卒業すると2007年夏、17歳でプロゴルファーに転向。長く下部ツアーを転戦し、米PGAツアーの正式な出場資格を得たのは14~15年シーズンから。プロになってから7年がたっていた。

その後、トンガとサモアにルーツを持ち、4人の子供がいる彼は順調に実績を積み重ね、昨季のプレーオフ最終戦、ツアー選手権で7位タイに食い込むと、世界ランクを49位にまで上げた。

50位以内に入ると、メジャー大会への出場資格などを得られる。ある意味、エリートの証明。しかし、そうして出場権を得た18年のマスターズ・トーナメントでは、別の意味で注目されてしまう。

ホールインワン後に暗転…

大会に先立って行われるパー3コンテストに出場した彼はホールインワンを記録したが、興奮のあまり、後ろ向きで走りながら観客の声援に応えているときに、左足首をひねった。それが脱臼だと判明したのはその少し後のことだが、そのシーンは何度もスポーツニュースなどで映し出され、喜びが一変した。

実は、そのことで彼のことを知った人は少なくないが、フィナウは「棄権も考えた」というほどの状況で初日を迎えると、4アンダー、68をマーク。2日目以降も74、73、66にまとめ、初出場ながら10位タイに食い込んだのだった。もちろん、彼にとってはパー3コンテストでのホールインワン以上の快挙だった。

4日間を振り返り「まったく足首に力をかけられなかった」と話したが、歩く距離の長いマスターズのコースを一歩一歩踏みしめ、来季のマスターズの出場権をも獲得している。

過去に勝ったのは16年のプエルトリコ・オープン(ココビーチ・クラブ)のみ。しかしながら今季は16試合に出場し、トップ10に入ったのが5回。トップ25が9回と安定。世界ランクも着実に上げている。

20日現在、今季のプレーオフ出場権を決めるフェデックスカップ・ランキングでも10位につけ、2年連続でプレーオフ全4戦への出場が有力。その前に訪れる3つのメジャー大会にも出場が濃厚(全米オープンと全英オープンの出場権はすでに確保)で、彼のファンには楽しみな状況だ。

フィナウという名前自体が珍しいので、マスターズのパー3コンテストですでに認知されたはずだが、今後は本来のプレーでファンの目を引くことになりそうである。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連キーワード

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン