2018年12月16日(日)

藻スタートアップ活発 たんぱく補給や抗鬱も

2018/5/22 13:48
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藻を活用するスタートアップへの投資が活発化している。タベルモ(川崎市、佐々木俊弥社長)は22日、産業革新機構や三菱商事からあわせて17億円を調達したと発表した。東京大学発スタートアップも大学ベンチャーキャピタル(VC)から調達した。石油燃料からの脱却、たんぱく質クライシスへの対策――。環境問題への寄与が期待される中、今度こそ社会に定着するか。

■大豆の2倍のたんぱく質

スピルリナを使った製品を持つ佐々木俊弥社長

スピルリナを使った製品を持つ佐々木俊弥社長

三菱商事と革新機構がそれぞれ8億5000万円ずつタベルモに出資する。タベルモは「スピルリナ」と呼ぶ藻を活用した健康食品などを開発するスタートアップだ。現在、静岡県掛川市の小規模工場でスピルリナを生産しているが、今回の調達資金でブルネイの首都バンダルスリブガワン近くに1万平方メートル(1ヘクタール)の生産工場を建設。2019年春にもスピルリナの量産を始める。

タベルモが描く世界は、藻でたんぱく質を補う未来だ。国連の報告によると、世界人口は50年には97億人、2100年には112億人にまで膨れあがり、食糧危機が懸念される。特に、三大栄養素のたんぱく質の供給量が足りなくなるとみられる。たんぱく源である動物の生育に時間やコストがかかるためだ。

タベルモが開発する製品はたんぱく質不足への対策として期待される

タベルモが開発する製品はたんぱく質不足への対策として期待される

スピルリナが含むたんぱく質の割合は、大豆の2倍近い。淡水や日光、二酸化炭素(CO2)があれば生産できるため、環境負荷も小さいと期待が寄せられる。「1000ヘクタールの生産工場ができれば大豆に匹敵する生産コストに抑えられる」と佐々木社長は胸をはる。

大学発のスタートアップも存在感が出てきた。18年3月に起業した東大発のアルガルバイオ(千葉県柏市、竹下毅社長)は、VCの東京大学エッジキャピタル(UTEC)や個人投資家などから5000万円を調達した。抗酸化や抗鬱などの機能を見込む藻類を開発している。食品メーカーなどと組み、食品や飲料向けへの提供を目指す。

■事業化、失敗の歴史

藻を活用したビジネスの先駆けのユーグレナは、ミドリムシを活用したジェット燃料の開発中だ。横浜市内で国内初の実証工場を建設中で、19年にも稼働を始める計画だ。タベルモの関連会社のちとせ研究所(川崎市)もIHIや神戸大学と藻を使ったジェット燃料の開発を進め、生産実験設備をタイに設置する。

環境問題解決などに期待があつまる藻を使った事業だが、課題はコストだ。オイルショックが契機になり、通商産業省(現経済産業省)などが1974~93年に実施した「サンシャイン計画」や93~2000年に実施した「ニューサンシャイン計画」で、CO2対策として藻の活用が研究されたが、いずれもコスト高が払拭できず、事業化にはつながらなかった。ユーグレナの燃料コストも実証段階で現状の10倍ともされる。「石油精製会社と組みながらコストを下げたい」(出雲充社長)と、大企業とスタートアップの連携が商用化のカギを握る。タベルモの佐々木社長も「大型調達を機に一気に事業化を進めたい」と話す。

(矢野摂士)

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