皇后さまが養蚕作業 今年で最後、雅子さまが継承へ
皇后さまは21日、皇居内の紅葉山御養蚕所で、蚕に餌の桑の葉を与える「給桑」の作業などに取り組まれた。養蚕は明治以降、歴代の皇后に受け継がれてきた伝統行事。天皇陛下の退位に伴い、皇后さまが行われるのは今年が最後で、皇太子妃雅子さまに引き継がれる。

皇居内の小高い丘の上にある木造2階建ての紅葉山御養蚕所は1914年に建てられ、現在も当時とほぼ同じ方法で養蚕が行われている。皇后さまはこの日、蚕に枝つきの桑を与えた後、蚕が繭を作る器とする藁蔟(わらまぶし)を手で編まれた。

宮中での養蚕は明治天皇の皇后、昭憲皇太后が養蚕業奨励のために始め、現在は3種類の蚕を12万~15万頭飼育。皇后さまは毎年5~6月ごろ、蚕の餌やりや繭の収穫など一連の作業を自ら行われ、生糸は正倉院宝物の修復などに使われる。
約2年前から作業を手伝う農学博士の代田丈志さん(68)は当初、蔟の編み方や蚕の成長に応じた桑の与え方など、養蚕に関する皇后さまの知識の深さに驚いたという。「今は知る人が少なくなった技術。伝統をつないでいこうとする強いお気持ちを感じた」と話す。
宮内庁によると、2019年4月の天皇陛下の退位後は新皇后となる雅子さまが養蚕を継承。今月13日には皇后さまが天皇陛下とともに皇太子ご一家を御養蚕所に案内された。19年は即位関連儀式が相次ぐため、雅子さまによる本格的な養蚕は20年からになるという。