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存在感高まる「無分配」ファンド(投信観測所)

2018/5/24 12:00
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分配金を重視する投資家の利回り志向に変化の兆しが出てきた。分配金に全く縁のない無分配ファンドの運用資産残高が拡大傾向にある。

■無分配ファンドの残高、10年前の約5倍に

毎月分配型やラップ口座専用などを除き、設定以降少なくとも1年間、分配金を一切出していないファンドの純資産総額(残高)を集計すると、2018年4月末時点では11.6兆円に達し、08年末の2.5兆円の5倍弱まで増えている(図A)。毎月分配型ファンド(約27兆円の残高)と比べてみても、その4割強の規模に達する。

無分配のファンドを具体的に見てみよう。18年4月末時点で残高の大きな無分配ファンドをリストアップした(表B)

残高首位は「ひふみプラス」。12年5月の設定以降、年1回の決算日に分配金を一度も支払ったことがないものの、高い運用パフォーマンスを期待する個人マネーが集まり、運用益による残高増も加わって日本株ファンドでは運用資産規模が最大に成長。ETF(上場投信)を除く追加型株式投信、全ファンドの中でも残高上位5本の指に入ってきた。

日本株ファンドでは「フィデリティ・日本成長株・ファンド」と「さわかみファンド」も、運用開始後、約20年間にわたり一度も分配したことがない。

他にも、ロボットやフィンテック、ビッグデータ関連を投資テーマとして、この数年のうちに設定されたファンドも無分配だ。

これら残高の大きなファンドに共通するのは、設定来での運用がおおむね堅調な点。設定来リターンは大半で2桁か3桁だ。ファンド選びにあたり「高分配よりも高成績」と単純にパフォーマンスを重視する投資家が増え始めた可能性がある。

■無分配で投信市場の規模拡大へ

投資家にとっては分配金をもらわずに運用に回した方が、税負担の繰り延べと合わせた複利上昇効果による運用益の上乗せが期待でき、運用会社にとっても多額の分配金の支払いで運用資産残高を減らさずに済むという点で、無分配は一挙両得のメリットがある。

ところが、投資家の選好が毎月分配型ファンドに偏ってきた結果、11年から17年までの7年間のうち15年を除く6年間は、ETFを除く追加型株式投信全体の資金流入額が分配金総額を下回る状態が続いてきた。分配金を出すとその分、基準価格が下がり残高が縮小するので、こうした分配金過多の傾向が投信市場の規模拡大を抑制してきた。

■分配方針では「分配する」のが前提だが

もっとも「無分配」といっても、ファンドが分配方針で分配金を一切支払わないと明言しているわけではない。実際、表Bの10本について目論見書の分配方針を見ても、「分配を行わないこともある」「必ず分配を行うものではない」「分配金が支払われない場合もある」など、表向きはむしろ「分配する」のを前提とした書きぶりだ。

今年からスタートした積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)では、投資家が分配金を受け取るとそれを再投資するたびに新たな非課税枠を消費することになる。長期の投資家にとっては「望まない」分配金になりかねないので、分配するのか否かはっきりしないながらも、つみたてNISA対象ファンドの大半は無分配を貫く可能性が高い。

無分配ファンドの残高が増えるにつれ、18年に入るとETFを除く追加型株式投信全体への資金流入額が分配金総額を上回ってきた。これは運用資産残高を増やす要因として働く。

投資家の利回り志向の変化は、投信市場の運用資産規模の行方を左右する注目すべき動きになってきた。

(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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