2018年12月11日(火)

「子ども食堂」行政後押し 運営助言や食材提供、大阪など

2018/5/21 11:45
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地域住民らが子供に無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」の運営を軌道に乗せようと、自治体が支援策に知恵を絞っている。食堂は全国で開設が相次ぐが、資金繰りや食材集めに窮し、閉鎖するケースもある。運営経験の豊富な民間団体に助言してもらったり、家庭で余った食材の提供を呼びかけたりして普及を後押しする。

子どもたちに温かい食事を提供する「にしなり☆こども食堂」(大阪市西成区)

大阪府は2018年夏にも、福祉活動の運営実績がある団体を「コンシェルジュ」に任命し、子ども食堂の運営団体にアドバイスする制度をつくる。立ち上げなどの相談に応じたり、運営のノウハウを教えたりする。週3日以上、相談窓口を開くことなどを条件に最大450万円の補助金を出す仕組みだ。

導入の背景には、子ども食堂の運営の難しさがある。府などによると、集まる子供の数や食材の仕入れが安定せず、短期間で閉鎖してしまうケースがある。衛生管理にばらつきがある問題も生じているという。助言役を付けることで「食堂の開設を促し、継続できる環境を整える」(府福祉部)のが狙いだ。

関係者の期待も高い。大阪市西成区で13年から「にしなり☆こども食堂」を運営するNPO代表の川辺康子さん(52)の元には、開設を検討する市民らから「食材の確保はどうすればいいのか」「子供たちが集まってくれる方法は」など多くの相談が寄せられる。川辺さんは「これまで市民の手弁当だった活動に、行政が関わるのは一歩前進だ」と歓迎する。

兵庫県明石市は18年5月、子ども食堂などを支援する一般財団法人「あかしこども財団」を設立した。財団は食堂の運営マニュアルの提供や衛生面の指導にあたる。食堂は3月時点で市内の15小学校区にあり、6月末までに全28小学校区に設置を目指すという。

食材集めに取り組むのは堺市。5月7日~11日、市民らから家庭で余った食材を持ち寄ってもらう「フードドライブ」を実施した。食材は常温で保存でき、賞味期限が1カ月以上あるもの。NPO法人「ふーどばんくOSAKA」(同市)を通じ、市内30カ所の子ども食堂を運営する団体に提供する。

今後も定期的に開催する予定といい、堺市で食堂を運営する信田礼子さん(73)は「食材確保は大きな課題。スタッフの負担が減って助かる」と話した。

広島県は18年度から小学生を対象に朝食を無料で提供する「食堂」のモデル事業を始める。地域のボランティアや民間団体に運営を委託し、登校前に立ち寄れるよう週3回程度、小学校の敷地内で開く計画。朝食に特化したケースは全国初という。

県が17年度に実施した調査では、生活が困難な世帯の子供ほど朝食を取らず、学習面でつまずく傾向も見られた。県の担当者は「家庭の事情にかかわらず、子供たちが集中して学習に打ち込める環境作りをサポートしたい」としている。

■全国2千カ所 担い手はさまざま
 子ども食堂は2012年に東京で名付けられたのが始まりとされ、地域の子供たちに温かい食事や居場所を提供する。設置や運営に関する公的な基準はなく、ボランティアやNPO法人、社会福祉法人、企業など担い手はさまざま。月に数回など運営側が決めた頻度で開く事例が少なくない。
 支援団体「こども食堂安心・安全向上委員会」が18年1~3月に実施した調査では全国で2千カ所を超え、推計で年間100万人以上が利用しているという。
 急速に広がる背景には子供の貧困問題がある。厚生労働省の調査によると、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子供の割合を示す「子どもの貧困率」は13.9%(15年)で、先進国の中では高い水準にある。
 経済事情や親の帰宅が遅い家庭の子供を対象とした場だったが、近年は高齢者など大人も受け入れる食堂が増加。地域交流の場としての役割も担う一方、運営が困難になるケースもみられる。

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