子供の聴取1回限り 福岡県警、検察・児相同席で

2018/5/21 11:38
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事件に巻き込まれた子供への聴取を巡り、福岡県警が検察や児童相談所(児相)との連携を強めている。3機関が聴取に同席する「司法面接」を始めたほか、合同で面接スキルを向上する研修も実施。子供への負担を減らしながら正確な聴取を実現するとともに、心のケアに生かす狙いもある。

福岡県警と検察、児相が合同で司法面接の研修会を実施した(福岡市博多区の県警本部)

今年1月、県警本部で開かれた司法面接の研修会。「何を見ましたか?」。面接官が柔らかい物腰で尋ねた相手は「子供」役の参加者だ。

子供役は事前に、雑貨店で少年が万引きする様子をビデオで視聴。「少年は女の子と入店していました」「カードをポケットに入れました」などと順を追って証言する子供役に対し、面接官は「それから?」などと発言を促しながらメモをとった。

従来は同じ事案でも別々に聴取していた警察や検察、児相といった専門機関が同席し、原則1回限りで聴取を実施するのが司法面接だ。最大の狙いは子供の負担を減らすことだ。捜査関係者によると、何度も聴取を受けた子供が、面接官の質問の文言が事実であったかのように錯覚して証言が変化してしまうこともあり、こうしたリスクも軽減できるという。

県内では昨年、試行的に司法面接を20回実施。子供の証言から虐待の事実の裏付けが取れ、容疑者の逮捕・起訴につながった事例もあった。ただ、聴取した子供が黙ってしまい、捜査が難航したケースもあった。

研修会で講師を務めた仲真紀子立命館大教授は「誘導にならないよう、子供に説明してもらうことが大切だ」と強調。証言しやすくするため、面接前に趣味の話を聞いて信頼関係を築いたり「いつ」「どこで」「誰と」といった5W1Hの質問を使い分けたりする技術を説明した。

研修を終えた参加者のひとりは「子供への効果的な質問方法を理解できた。実際の聴取に生かしたい」と語った。

司法面接は捜査面での利点だけでなく、児相にとっても、子供が負った心の傷の治療法を探りやすくなるという。福岡市の児相職員は「たとえば事件後に表れた症状や行動の原因を知る手がかりになる。それぞれの子供に合った適切なケアを進められる」と話す。

警察庁によると、児童虐待で保護した18歳以下の子供は2012年の1611人から16年の3521人となり、4年連続で増えている。福岡県内の児相への通告件数も、15年の368件から17年の3373件と大幅に増加した。県警幹部は「司法面接を重ねて、捜査員のスキル向上につなげたい」と話す。今後も3機関が連携し、研修などを続けるという。

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