2019年5月27日(月)

ベネズエラ大統領選、現職が再選 米欧は制裁強化も

2018/5/21 8:25 (2018/5/21 12:56更新)
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【カラカス=外山尚之】南米ベネズエラで20日、大統領選の投開票があり、選挙管理当局は反米左派のニコラス・マドゥロ大統領(55)が再選されたと発表した。同国の経済は破綻状態。再選の場合、米国はベネズエラへの制裁を強化する可能性を示していた。石油輸出国機構(OPEC)の一員であるベネズエラの産油量は一段と減るかもしれず、原油価格に上昇圧力がかかりそうだ。

事実上、与党・統一社会党(PSUV)党首のマドゥロ氏と、対米改善を訴える野党・先進革新主義党(AP)党首のヘンリ・ファルコン前ララ州知事(56)の一騎打ちという構図になった。

選管によると、開票率92.6%時点で、得票数はマドゥロ氏が約582万票で、ファルコン氏は約182万票だった。

再選を決めた後、カラカス市内で演説したマドゥロ氏は「人々の永遠の勝利だ」と述べ、同氏が多くの国民に選ばれたとして正当性を主張した。

投票率は約46%で、2013年の前回大統領選は約8割だった。今回の有権者数は約2053万人。棄権した野党支持の有権者も多いようだ。

20日、有権者の姿がまばらなカラカス市内の投票所

20日、有権者の姿がまばらなカラカス市内の投票所

政権側は選管を掌握したうえ、有力候補を投獄して、野党を極めて不利な状況に追い込んだ。

米国や欧州連合(EU)は大統領選の結果を認めない構え。ポンペオ米国務長官は20日、ツイッターに「偽りの選挙は何も変えない」と投稿した。米財務省は18日、PSUVの第1副党首ら4人を独自制裁の対象に指定した。マネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬取引などへの関与が理由。

米政府は同国で活動する金融機関に、ベネズエラの政府や国営企業に対する新規融資などを禁じる制裁も実施済みだ。マドゥロ氏が再選されれば制裁を強化する可能性を示してきた。ベネズエラ産原油の輸入制限などに踏み込むという観測も取り沙汰されている。

ベネズエラ経済は主要輸出品である原油の価格水準低下や、物資不足によるインフレで疲弊。設備の補修や更新が滞り、産油量も減少している。

選管によるマドゥロ氏勝利の発表に先立ち、ファルコン氏は記者会見で「買収などマドゥロ政権による選挙法違反の行為を確認しており、抗議する」と述べ、再選挙を求める意向を示していた。

マドゥロ氏は20日早朝にカラカスの投票所で「人々が今日、誰を彼らの大統領に選ぶかを世界に示そう」と話した。政権側は投票所の外にテントを張り、与党の支持者であると示す「祖国カード」を持つ有権者が実際に(与党に)投票したかどうか個別に確認した。この投票者のリストに名前がない場合、公務員は解雇し、そのほかの支持者にも食糧配給を止めると伝えていたもようだ。

マドゥロ氏は新たに6年間の任期を得る。同氏のいまの任期の満了は2019年1月。大統領選は本来、その少し前に実施されるはずだったが、政権は半年以上前倒しした。野党連合の民主統一会議(MUD)はこれに反発し、大統領選のボイコットを表明。ファルコン氏はMUDの呼びかけに反して出馬した。

ファルコン氏は米国との関係改善や米ドルを流通通貨として採用する政策を掲げた。だが、同氏に対しては、対立候補として出馬することで選挙の体裁を整え、マドゥロ氏が当選した場合に正当性を主張するのを助けるだけだという批判があった。心情は反政権でもファルコン氏には投票しないと話す有権者もいた。

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