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大リーグ、今も絶えぬ禁止薬物使用の現実
スポーツライター 杉浦大介

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2018/5/21 6:30
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米大リーグ機構(MLB)は15日、マリナーズ内野手のロビンソン・カノ(35)が薬物検査で禁止薬物の利尿剤フロセミドに陽性反応を示していたことを明らかにした。検出されたフロセミドは筋肉増強剤ではないが、PED(パフォーマンス向上薬)の隠蔽に用いられるため禁止薬物に認定されている。過去にオールスターに8度選ばれたスーパースターが80試合の出場停止処分を受けた衝撃は大きい。この薬物使用はどんな意味を持ち、今後の大リーグにどんな影響を及ぼしていくのか。

「フロセミドは(母国)ドミニカ共和国の医師から処方されたもの。当時は禁止薬物だと気づかなかったが、もっと注意しておくべきだったと後悔している。愛する競技のルールを破るような行為は決してしないし、PEDを使用したことがないから、これまで薬物検査で陽性反応が出たこともなかった」

出場停止処分を受けることが発表された後、カノは選手会を通してこうした声明を出した。禁止薬物に陽性反応を示した選手が、このような言い訳をするのはすでに"恒例"になった感がある。ドミニカ共和国の医師に責任を転嫁するようなコメントもあるが、それが真実だとすれば法廷などで争わないまま処分を受け入れるのは理解しがたい。素直に出場停止に応じた経緯もあって、大半の関係者が「カノは黒だろう」と考えている。

「ロビー(カノの愛称)のことは大好きだが、(薬物使用の話を聞いても)驚きはなかった。みんな同じことを言っているよ」

ヤンキース時代に同僚だったマーク・テシェイラ氏ですら、17日に米スポーツ専門局ESPNのラジオ番組に出演した際、そう述べていたのは象徴的かもしれない。

ヤンキース時代から噂あった

カノは大リーグ通算305本塁打を放ってきた名二塁手だが、2013年までプレーしたヤンキース時代から薬物使用の噂はあった。当時の親友だったメルキー・カブレラ(現在はインディアンス傘下のマイナーに所属)、師匠のような存在だったアレックス・ロドリゲス氏はともにPED使用に絡んで出場停止処分を受けている。実際にこうした事態が表沙汰になってしまえば、いつから使用していたのか、テシェイラ氏らとともに09年にワールドシリーズを制覇したときから禁止薬物に手を染めていたのではないか、といった疑いが出てしまうのは仕方あるまい。

近年の大リーグでは「ステロイド時代」と呼ばれた1990年代から00年代までのように、リーグ全体に禁止薬物使用がまん延していると考えられているわけではない。大リーグに出場選手登録されている薬物違反者は17年がスターリン・マルテ(パイレーツ)、デビッド・パウリーノ(アストロズ)、今年はホルヘ・ポランコ(ツインズ)、カノとそれぞれ2人にすぎない。

「ベースボールに限らず、スポーツがPEDから切り離されることはない。ただ、私は今回のカノや他の選手たちが禁止薬物に陽性反応を示したMLBの薬物検査が、選手たちを警戒させる抑止力になっていると考えている」

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