京都で夜観光広がる 新装・南座も夕方公演で一役

2018/5/19 6:00
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松竹は18日、京都・南座の今秋の新装開場後の催しなどを発表した。従来の歌舞伎や演劇に加え、訪日外国人や若者向けに夕方以降に開演する「ナイトプログラム」を試験的に導入する。京都市内では夕方以降の体験型観光が増えている。歌舞伎発祥の地、京都四条での南座の取り組みは、観光客の滞在日数を伸ばし消費を促す「夜観光充実」の一翼を担うことになる。

南座では2019年7月のOSK日本歌劇団の公演の開演時間をナイトプログラムとして夕刻以降に設定する。第一線の若手クリエーターを集め、祭りをイメージしたパフォーマンスで構成する「京都ミライマツリ2019」(19年5月)も夕刻以降の開演を検討している。松竹の安孫子正副社長は「午後9時には終わらなければという縛りを外しながらやっていくことも重要だ」と語る。

訪日客の拡大に伴い京都市内では日中の混雑が激しく、消費拡大には夜観光の充実が不可欠。京都市ではぐるなびと提携し、この夏にも宿泊延長などにつながる夜観光の紹介に特化したホームページ開設する方向だ。

夕方以降の楽しみは増えつつある。清水寺のそば、二寧坂にある「和(なごみ)」では午後5時からの茶道体験を催している。和室で1回45分間、他の客と相席なら1人2500円。利用者の7~8割は米国や中国などからの訪日客だ。

着物のレンタルを手掛ける「夢館 御池別邸」では午後5時ごろから日本舞踊の稽古が受けられる。1人3000円で1時間。レンタル代を負担すれば着物で稽古できる。姿勢やお辞儀などの基礎から日本舞踊の動きまで学べる点が人気で、こちらも利用客の8割が中国や香港などからの訪日客だという。

京懐石などを夜に食べられる店も需要が高まる。紅葉の名所である高雄の「もみぢ家」では、夏の間、納涼のための川床で夕食を味わえる。

京都市は訪日客の平均宿泊日数を2泊から3泊に、宿泊客の1人当たりの観光消費額を4千円ほど増やす目標を掲げる。夜観光の充実を念頭に20年の観光消費額の目標を1兆3000億円と従来から3割引き上げた。

■NARUTOや初音ミク、演目に新風

国の登録有形文化財である南座は耐震・改装工事前の外観をほぼ維持する。(2015年 吉例顔見世興行より)

国の登録有形文化財である南座は耐震・改装工事前の外観をほぼ維持する。(2015年 吉例顔見世興行より)

京都四条のランドマークでもある現在の南座は1929年の建設で国の登録有形文化財。耐震性向上のため2016年1月の公演を最後に休館し、外観はそのままに劇場設備全体を更新した。

新装・南座の記念公演を藤田孝支配人は「伝統と新たな魅力の融合」と語る。11、12月と2カ月連続の吉例顔見世(かおみせ)興行を手始めに、19年3月の坂東玉三郎特別公演、7月の桂米團治独演会などの豪華プログラムが並ぶ。

19年6月には海外でも人気が高い漫画「NARUTO」を題材とした新作歌舞伎を公演。NTTの最新技術を取り入れ、ボーカロイド(歌声合成ソフト)の人気キャラクター、初音ミクと中村獅童が共演する「超歌舞伎」(19年8月)では一部日程がナイトプログラムとなる可能性もある。

公演時間が4時間を超える顔見世興行は訪日客にはハードルが高かった。ただ、休館前の南座では公演時間の短い花形歌舞伎で手ごろな3階席に100人弱の外国人が入った日もあるなど、文化体験も多様化・深化している。観客の満足度を高めるため、新開場後は英語の音声ガイドを導入し、需要に合わせて他の言語にも対応する考えだ。

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