2019年4月26日(金)

米、北朝鮮に誘い水 非核化「リビア方式」否定

2018/5/18 18:42 (2018/5/18 21:54更新)
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【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】トランプ米大統領が米朝首脳会談の取りやめを示唆した北朝鮮に非核化の誘い水を向けている。核放棄モデルとして米国が政権存続を保証しなかった「リビア方式」の適用を否定し、見返りに金正恩(キム・ジョンウン)委員長の独裁存続を保証する用意があると表明した。ただ完全非核化の目標は降ろさず、北朝鮮の出方を試している。

「金委員長はとても力強い保護を得ることになるだろう」。トランプ氏は17日、公の場で初めて体制保証に言及した。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の持論であるリビア方式は北朝鮮が激しく非難しており、トランプ氏が否定して配慮を示した形だ。

リビアのカダフィ政権は2003年に核計画を放棄した後、初めて制裁緩和などの見返りを受けた。米国は体制保証をしたわけではなく、11年の「アラブの春」で同政権は崩壊。カダフィ氏は反体制派に殺害された。北朝鮮が警戒しているのは、この点だ。

「彼は国に居続けるし国家運営も続ける」。トランプ氏は金委員長が非核化に応じれば政権存続を容認すると明言し、リビアとの違いを訴えた。ポンペオ国務長官は米企業による直接投資に言及しており、トランプ氏も非核化すれば「豊かになる」と足並みをそろえた。

トランプ氏には11月の中間選挙を控え、史上初の米朝首脳会談を実現させ成果と誇示したい思惑がある。だが完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)を譲ったわけではない。「もし合意がなければ(リビアのような)『完全な破壊』が起きる」。非核化に向けた合意の調整が頓挫すれば軍事行動も辞さないと脅した。

10日に米朝首脳会談の日程と場所が発表されて以降、トランプ氏が北朝鮮を威嚇したのは初めて。国防総省は北朝鮮が中止を要求している米韓軍事演習も予定を変えずに継続する方針。トランプ氏は体制保証のアメと軍事オプションのムチで北朝鮮に非核化を迫ろうとしている。

一方、北朝鮮は韓国に対し米国との軍事演習を理由に揺さぶりを続けている。韓国統一省は18日、北朝鮮が来週実施すると予告した豊渓里(プンゲリ)核実験場の爆破を巡り、北朝鮮側が韓国の取材記者名簿の受け取りを拒否したと明らかにした。北朝鮮は23日から25日の間に核実験場の坑道を爆破し、その様子を米中韓英ロ5カ国のメディアに公開すると表明していた。

北朝鮮側には22日の米韓首脳会談が念頭にあるとみられる。文在寅(ムン・ジェイン)大統領がワシントンでトランプ大統領と北朝鮮の非核化プロセスや、北朝鮮が望む体制保証について話し合う。北朝鮮はかねて米の戦略兵器を朝鮮半島に近づけないことや、米韓合同軍事演習の中止などを求めてきた。

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