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一帯一路と中国のSDGs(大機小機)

中国が推進している「一帯一路」の代表的な定義は「古代シルクロードを原型とし、インフラによる相互連結を基礎とし、多元的協力メカニズムと『義利観』を特徴とし、運命共同体の構築を目標とする発展主導型で、開放的な地域協力メカニズム」というものだ。

中国を代表するこの分野の論客、中国社会科学院の李向陽教授の主唱によるもので、最重視するのは「義利観」だ。義とは理念や道義、倫理。利とは相互利益を意味する。論語を典拠にした考え方だそうだ。日本流に言い換えれば、義は国際協力の政策目的、利は関係国の裨益(ひえき)性というイメージだ。

だが、一帯一路に関わる国々や国際機関の多くは、この義利観を額面通りには受け取っていない。特に、中国周辺国やアジア開発銀行の警戒感は根強い。

中国が真に国際社会から感謝される一帯一路を推進するのであれば、それを裏付ける確かな行動が必要である。幸い、格好のテーマがある。SDGs(持続的開発目標)だ。

SDGsは3年前の国連総会で採択され、貧困や環境問題の解決、人権や働き方改革の推進など17の大きな目標を掲げている。最近は日本でも盛り上がりつつあり、官民挙げた取り組みが推進されている。

実は中国は、日本に先立ってSDGsを真剣にとらえていた。昨年には大規模な関連シンポジウムや学会が開催されている。大都市の深刻な大気汚染や水質問題、へき地の貧困や衛生問題など、中国にとってのSDGsの切迫感は日本との比ではない。彼らの対応は真剣である。

しかし他方で、南方海洋で世界的に貴重なサンゴ礁を生き埋めにして基地を建設し、珍しいカブトガニの生息地を何のためらいもなく埋め立てて港湾設備を構築している。これらの行為をSDGsとどう折り合いを付けるのだろうか。しかも、周辺国と領海問題を引き起こすような状況下で、である。

自国都合のSDGsばかりで他国はどうでもよい、という態度では、一帯一路を見極めようとする国際社会からも厳しい評価を受けるのではないか。

理念は矛盾なく透明性が高くなければならない。一帯一路とSDGsの整合性がとれたとき、中国の本気度がわかる。(鵠洋)

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