2018年8月16日(木)

原油の過剰在庫が解消 OPEC減産目標ほぼ達成
価格、3年半ぶり高値圏

2018/5/17 19:52
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 原油のだぶつき感が薄れている。需要が堅調な一方、石油輸出国機構(OPEC)も協調減産で加盟国の足並みがそろう。過剰気味の在庫を「過去5年平均」まで減らす当初の目標をほぼ達成した。イランからの供給減の懸念など目先の買い材料も重なり、価格を3年半ぶりの高値圏まで押し上げた。

 国際エネルギー機関(IEA)が16日発表した月報によると、市場が注視する経済協力開発機構(OECD)加盟国の商業在庫は3月、28億バレルだった。2015年3月以来の低さで、過去5年の平均を100万バレル下回った。

 WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は14年半ばの1バレル100ドル超から急落し、16年初めに30ドルを割り込んだ。米国のシェールオイル増産に危機感を抱いたOPECを主導するサウジアラビアは、ロシアなど非加盟の主要産油国を巻き込み減産に動いた。

 OPECなどが協調減産を始めた17年1月の在庫は30億バレルで、5年平均より2.8億バレルも多かった。合計で日量約180万バレルの生産カットで合意した。原油による収入が国家財政を支える各国は、油価の押し上げで利害が一致。「減産破り」は徐々に影を潜め、達成率は100%を上回る。

 OPEC加盟国ベネズエラの生産が財政危機で急減したことも供給抑制につながった。同国の産油量は日量140万バレルと2年前に比べ4割落ち込んだ。20日に迫る大統領選は「現職の勝利で米国の追加制裁が見込まれる。ベネズエラの生産量は回復しない」(日産証券の菊川弘之主席アナリスト)との見方がある。

 5月にはトランプ米大統領がイランへの経済制裁再開を決め、イランの原油輸出が減るとの思惑が広がった。「イランとベネズエラの二重の供給不足は、価格急騰を避けるうえで大きな課題になる」(IEA)

 米ゴールドマン・サックスは16日の報告書で、OPECとロシアが積極的な対策をとらなければ「在庫は19年第1四半期までに危機的水準まで下がる可能性がある」と分析した。

 WTIは1バレル71ドル前後と、昨年の安値に比べ7割上昇した。OPECの協調減産は18年末まで続く見通し。在庫を減らす目的は既に達した格好になるが、サウジは19年以降もロシアなどと協力を続ける意向だ。

 産油各国が新たな目標を探す可能性は高い。楽天証券の吉田哲コモディティアナリストは「『5年平均』は14年以降の供給増でかさ上げされている。一段の在庫正常化に向けた目標設定がありうる」とみる。

 強材料ばかりが目を引きがちだが、IEAは「大幅な上昇が需要の拡大に影響しないとしたら驚きだ」と指摘。18年の世界需要の増加幅を日量150万バレルから140万バレルに下方修正した。原油高が消費量の伸びを抑える可能性を市場は意識し始めている。

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