2018年10月20日(土)

中国企業、外債発行が急拡大 1~4月 前年の2.8倍
発行額9兆5千億円 国内調達難で海外に

2018/5/17 16:55
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【上海=張勇祥】中国企業が外債発行による資金調達を膨らませている。2018年1~4月の発行額は870億ドル(約9兆5千億円)と、前年同期(309億ドル)の2.8倍にのぼった。習近平(シー・ジンピン)指導部が過剰債務の解消を掲げるなか、一部企業が外債での資金手当てに走った。債券の出し手には地方政府系の投資会社も含まれ、信用リスクが海外に拡散する恐れもある。

中国企業が域外(香港を含む)で発行した債券を集計した。ユーロや人民元などでの起債は、発行時の為替レートでドルに換算した。

国有鉄鋼大手の首鋼集団は4月、ドル建て債5億ドルを発行した。満期まで1年、利率は3.95%だった。当時、期間1年の米国債利回りは2%台前半。割高な調達にみえるが、国内で発行すれば5%前後の利率が必要なため発行を決めた。17年に人民元の対ドル相場が4年ぶりに上昇するなど、元安に歯止めがかかっていることも判断材料になった。

中国東方航空は3月に東京証券取引所の「東京プロボンド市場」で500億円の社債を発行。中国と日本間の航路に注力しており、円建ての支払いに備える。外債の発行は金融機関が主体だが、首鋼や東方航空のように事業会社による調達も増えている。

中国企業による外債発行は17年半ばから増え始めた。国内金利が上昇を始め、外債の割高感が相対的に薄れた時期に重なる。17年秋の共産党大会をはさみ、習指導部がデレバレッジ(過剰債務の圧縮)に取り組む姿勢をより鮮明にすると発行増に拍車がかかった。

米金利の上昇も企業の背中を押している。長期金利は4月下旬に4年ぶりに3%台に上昇、2年物国債利回りは2.5%を超え、最も低かった11年に比べ2%以上も上昇した。米連邦準備理事会(FRB)は19年も利上げを継続する見込み。金利が一段と上昇する前に駆け込みで資金を調達する動きが広がっている。

ただ、地方政府系の投資会社「地方融資平台」が債券の出し手に名を連ねていることは懸念材料だ。18年だけでも青海省や新疆ウイグル自治区、遵義市(貴州省)などの融資平台が外債を発行している。青海省の融資平台のように格付けが低く、8%近い利率での調達を強いられる例も多い。

融資平台は地方のインフラ整備などを手掛け、外貨を調達する動機は乏しい。それでも外債発行を通じた資金調達に動くのは、習政権の債務圧縮策のあおりを受け資金手当てが難しくなっているためだ。金融当局は融資平台向け与信のリスクを精査するよう銀行に求め、シャドーバンキング(影の銀行)の圧縮にも動いている。

地方政府の債務問題が融資平台の外債発行を通じて海外に広がっているとも解釈できる。融資平台の調達が中国の国内にとどまり、買い手が国内の投資家であるうちは「政府による暗黙の保証が期待できる」(大手商業銀行)。だが、仮に外債で元利払いが滞った場合、政府が支援の手を差し伸べるかは不透明だ。

中国では1990年代末に地方政府系ノンバンクで債務不履行が発生、外国銀行などが多額の損失を被った事例がある。「融資平台の信用不安が広がれば債券市場が動揺しかねない」(海外の大手銀行)との懸念も出ている。

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