2018年10月24日(水)

旧優生保護法下の強制不妊、3人が提訴 国に賠償求め

2018/5/17 10:15
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旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたなどとして、北海道、宮城県、東京都の70代の男女3人が17日、国に計7950万円の賠償を求める訴訟を各地の地裁で起こした。原告側は旧法が憲法に違反し、国が長年にわたって被害救済を怠ってきたなどと主張している。

提訴のため東京地裁に入る原告側の弁護団ら(17日午前、東京・霞が関)

提訴のため東京地裁に入る原告側の弁護団ら(17日午前、東京・霞が関)

1月には宮城県の60代の女性が国に損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こしており、原告は全国で計4人となった。各地の弁護士は5月下旬に全国弁護団を結成する方針で、国に救済を求める訴訟が拡大する可能性がある。

訴状などによると、3人は1950~60年代、障害などを理由に不妊手術を強制された。東京地裁に提訴した70代の男性は、宮城県内の児童養護施設に入所していた14歳のころ、何も知らされないまま不妊手術を受けさせられた。宮城県に手術記録の開示を請求したが、県は「存在しない」と回答。公式記録はないものの、男性の姉が他界した祖母から「(男性は)不妊手術を受けた」と聞かされたという。

男性側は旧法による手術を「被害者に回復できない精神的・肉体的苦痛を与えた」と批判。「手術がなければ、にぎやかで幸福な家庭を持つ機会が得られたはず。その未来を永久に奪われた」と訴えている。

16歳の時に知的障害を理由に不妊手術を受けた宮城県の70代女性は仙台地裁に提訴。女性の手術に関する資料もないとされたが、県が今年2月、資料がない場合でも一定の条件を満たせば、手術を受けたと認める方針を示したことを受けて訴訟に踏み切った。

札幌地裁に提訴した小島喜久夫さん(76)は、19歳のころに病院に連れて行かれ、手術を受けさせられたと主張。旧法は幸福追求権などを定めた憲法に反し、1996年に母体保護法に改正された後も国が被害回復措置を取らなかったのは不当と訴えている。

先行して訴えを起こし、3月に第1回口頭弁論があった宮城県の60代女性の訴訟で、国は請求棄却を求めた。

17日、東京地裁に提訴後、記者会見した原告の男性は「手術を受けた事実を打ち明けられず、一人で傷ついている人が大勢いる。(訴訟で)当時の実態が明らかになることで、傷を少しでも埋めたい」と語った。ほかにも多くの人が手術を受けたとして「勇気を出して名乗り出て、訴えてもらいたい」と呼びかけた。

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