ノバルティス役員辞任 トランプ氏の弁護士会社へ報酬
【ローマ=細川倫太郎】スイスの製薬大手ノバルティスは16日、法務担当役員のフェリックス・エラト氏が辞任すると発表した。トランプ米大統領の個人弁護士マイケル・コーエン氏が設立した会社に対し、ノバルティスが120万ドル(約1億3000万円)を支払った問題の責任を取る。
欧米のメディアによると、ノバルティスは2017年2月、医療政策に関する助言を受けるため、コーエン氏が設立したエッセンシャル・コンサルタンツ社と1年間の契約を結んだ。特段の成果は得られず関係は打ち切ったが、契約に基づき18年2月まで相談料として計120万ドルを支払ったとされている。
この問題では、製薬会社が多額の資金で政府への影響力を働かせようとしていたのではないかとの疑惑が浮上。トランプ氏周辺の不透明なカネの流れを巡り、スイス検察当局はノバルティスの調査に乗り出していた。
エラト氏は「契約は合法だったが、間違いだった。(ジョセフ・ジメネス)前・最高経営責任者(CEO)と連名で署名した者として個人の責任を取り、この問題について公の議論を終わらせたい」とコメントした。
エラト氏の後任には、コンプライアンス担当のシャノン・クリンガー氏が6月1日付で就任する。エラト氏は11年から法務担当役員の職に就いていた。ノバルティスは「エラト氏の決断を尊重する」としている。