2018年5月27日(日)

川村東電1年 復配悲願、稼ぐ会社まだ途上

環境エネ・素材
2018/5/16 22:37
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 東京電力ホールディングス会長に川村隆日立製作所元社長が就いて、6月で1年になる。東電はトヨタ自動車式の「カイゼン」の定着を目指している。16日、本社で開いたカイゼン討論会で川村氏は「利益を出して社会に還元するのが会社の使命」と話した。稼ぐ意識を高めるよう激励し、16兆円の廃炉・賠償費用を捻出するほか、悲願の配当復活を目指す。

カイゼン事例の説明を聞く東京電力ホールディングスの川村会長(左)(16日、東京都千代田区)

カイゼン事例の説明を聞く東京電力ホールディングスの川村会長(左)(16日、東京都千代田区)

 討論会「カイゼンフォーラム」は約340人が3時間にわたり参加した。トヨタやトヨタカローラ八戸(青森県八戸市)、住友建機の幹部がカイゼンの取り組みを紹介した。それに対して東電幹部から「現場にどこまでカイゼンを任せればいいのか」「現場とどうカイゼンのコミュニケーションをとればいいのか」といった質問が相次いだ。

 東電が目指すのは意識改革で「普通の会社」になること。地域独占が続いてきた電力業界は高コスト体質だった。これを改めるために2015年にトヨタ元常務の内川晋氏を特任顧問として迎え、足元までのカイゼン案件は約1500件に達した。

 例えば、広野火力発電所(福島県広野町)。16年に5号機の定期点検を当初141日で計画していたのを、75日に短縮できた。収益改善効果は数十億円に上る。

 秘訣は事前作業を仕込む「段取り」だ。メーカーでは当たり前だが、発電所にも導入し、取り換える配管の溶接を工場で事前に実施し、現場作業を減らした。18年6月の次回の定期検査では、従来の方式だと123日かかる期間を79日に短縮する。

 川村会長は「カイゼンは会社の体質も変えてくれる」と強調した。「企業は給与、税金、配当を支払うのが使命」と話したうえで「右肩上がりで経常利益は上がってきた」と業績に言及した。カイゼンをテコに、11年3月期で止まっている配当の復活に道筋を付けたい考えだ。

 東電がカイゼンに力を入れるのは自力でできることが限られているという事情もある。17年5月に策定した再建計画では、収益力の向上のために送配電や原子力の業界再編、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を盛り込んだ。だが、いずれも他社の方針や地元の同意など相手があっての話。この1年で大きな進展があったとは言い難い。

 15年から始めたカイゼンは当初、火力発電分野が中心だった。課題は、対応が遅れていた原子力部門にあり、安全に影響しない分野から取り組み始めている。廃炉については福島第1原子力発電所の汚染水タンクの建設を効率的な工法に改めたという。内田俊志統括チーフ・カイゼン・オフィサー(CKO)は「カイゼンを加速して東電の生産性を10倍にしたい」と話した。

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