2018年8月17日(金)

収益力・中小融資・手数料 南関東3行比較

2018/5/17 0:30
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 神奈川、埼玉、千葉の南関東3県の銀行の2018年3月期決算が出そろった。日銀のマイナス金利政策によって経営環境は厳しいなか、各行とも知恵を絞る。3県の各トップ行の財務状況を比較すると、収益力の横浜銀行、手数料収入の伸びの千葉銀行、中小企業向け融資の埼玉りそな銀行という姿が見えてきた。

手数料収入の増加率が高い千葉銀行

中小向け貸出比率が高い埼玉りそな銀行

ROAが最も高かった横浜銀行

 【収益力】どれだけ効率的に利益を生み出しているかを見るため、横浜銀、埼玉りそな銀、千葉銀の総資産に対する純利益の割合(ROA)を比べた。最も高かったのは横浜銀だった。

 横浜銀は預貸率(預金残高に対する貸出金残高の割合)、貸出金利回りとも3行中、2番目に高い。収益源である貸出金の割合が高く、貸出金利も高ければ、貸し出しによる収入も多くなる。

 一方で同行は経費の割合も低い。行員数をピーク時の約7500人から現在は約4500人に減らしており、本業の粗利益に対する経費の割合(OHR)が3行の中で最も低い。

 総資産に対する純利益の割合が2番目に高いのが千葉銀。東邦銀行第四銀行などが参加する「TSUBASAアライアンス」によるシステムの共同開発などで経費削減を進めた効果が出ている。

 【中小企業融資比率】地域金融機関に求められる大きな役割の一つが中小企業支援だ。3行のうち法人向けの貸出額に占める中小向けの比率は埼玉りそな銀が8割以上を占め、他の2行を大きく上回る。

 埼玉りそな銀は同じグループのりそな銀行と営業範囲をすみ分けており、埼玉県外での出店に制約がある。法人向け融資のうち、埼玉県内企業の割合は9割を超える。地方銀行が東京などの大企業との取引を拡大しているが、グループ内の方針でこうした融資戦略が取れないため、地元中小企業との取引に力を入れている。一般に大企業より中小企業の方が貸出金利が高い。3行のなかで、埼玉りそな銀の貸出金利回りが最も高い。

 横浜銀は中小向け比率を前年よりわずかに増やしたが、それでも2行を下回った。営業地域に大企業が比較的多いうえ、大型の資金需要に応えられる地域金融機関が他に少ないことが影響したとみられる。

 【手数料収入の伸び】マイナス金利政策が続き、貸出金利が伸び悩むなか、各行とも金融サービスに伴う手数料収入の確保に力を入れている。

 手数料収入を示す「役務取引等利益」の増加率が3行のうち最も高かったのが、千葉銀だった。「法人関係のM&A(合併・買収)や事業承継、私募債発行支援などに力を入れてきた」(佐久間英利頭取)

 同行は他行と相次いで連携しており、これが手数料収入の増加に結びついている。TSUBASAアライアンスでは、千葉銀が開発した商品を他の参加行でも販売することなどで手数料を得た。武蔵野銀行との資本・業務提携では、顧客を相互に紹介し、協調融資で手数料を確保した。両行の提携を背景に、武蔵野銀も役務取引等利益を15%増やしている。

 ただ、粗利益に占める手数料収入の比率は横浜銀や埼玉りそな銀が千葉銀を上回る。埼玉りそな銀は19年度までの中期経営計画でこの比率をさらに高める目標を掲げており、収益源の拡充に向けた銀行間の提案競争はさらに激しくなりそうだ。

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