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ディープ産駒、英クラシック制覇 欧州で血統に注目

種牡馬ディープインパクトが競馬の本場、英国で快挙を達成した。5日の2000ギニー(G1、ニューマーケット芝約1600メートル)で産駒のサクソンウォリアー(牡3、アイルランド)が2着に1馬身半差をつけて優勝。産駒による英クラシック初制覇を成し遂げた。欧州でのディープインパクトの評価を高める大きな1勝となった。一方、国内では種牡馬ランキング首位と好調を維持するものの、2018年にここまで行われたクラシック(桜花賞、皐月賞)では未勝利。20日のオークス、27日の日本ダービー(いずれもG1、東京芝2400メートル)には桜花賞と皐月賞に不出走だった素質馬も参戦予定で、日本でもクラシック優勝馬を送り出せるか、注目が集まる。

スピードに加え、勝負根性も

「とてもいい走りだったし、道中はずっと勝てると思っていた」――。現地報道によると、2000ギニーのレース後、サクソンウォリアーに騎乗していたドナカ・オブライエンはこう語ったという。実際、レースは馬群の中位を抜群の手応えで追走。力強い末脚を発揮して、残り400メートル付近で先頭に立つと、鞍上(あんじょう)の自信通りにそのまま押し切った。管理するのは同騎手の父、エイダン・オブライエン調教師。現地では親子での勝利が話題となった。

同馬は2歳だった17年8月にデビュー。10月のレーシングポストトロフィー(英・ドンカスター芝約1600メートル)で初めてG1を勝った。一度は他馬にかわされながらも盛り返し、再び先頭に立ったそのレースぶりをみても、スピードに加え、勝負根性も優れていることがわかる。能力は非凡だ。

サクソンウォリアーの母は11年に欧州の最優秀2歳牝馬に選ばれたアイルランド馬のメイビー。来日してディープインパクトと交配し、そのまま日本でサクソンウォリアーを生んだ。今回の2000ギニーは日本産馬初の英クラシック勝利でもあった。

「最適な距離は2000メートルだが、リラックスしている馬だし、2400メートルでもチャンスがある」とドナカ・オブライエン。地元のブックメーカー各社は英ダービー(6月2日、G1、エプソム芝約2400メートル)の前売りで同馬に2倍を切るオッズを付け、圧倒的な1番人気に評価している。1970年のニジンスキー以来、48年ぶりの三冠馬誕生を期待する声も出始めている。

背景に特定の血統の飽和感

欧州ではもともと種牡馬ディープインパクトへの注目度が高まっていた。背景には特定の血統の飽和感がある。大種牡馬サドラーズウェルズ、その息子ガリレオやモンジューの産駒が欧州の大レースを数多く勝っているため、優秀な繁殖牝馬や種牡馬にこの系統の馬が増えた。近親交配が進みすぎると、体質が弱い馬が出てくるなど、生産界全体の活力が衰えるおそれがある。そこで違う系統の血を入れる必要があるが、その候補としてディープインパクトへの期待が高まっているのだ。実際、メイビーの父もガリレオで、サクソンウォリアーの配合からは、異なる血を入れようという意図が感じられる。

現役時代のディープインパクトはパワーよりもスピードと瞬発力に優れたタイプだった。日本で活躍する産駒には父の長所を受け継いだ馬が多く、パワーが必要な欧州競馬への適性が不透明な面もあった。今回のサクソンウォリアーの活躍で、欧州の馬場への適応力と、ガリレオ産駒の牝馬との相性の良さを示せたことになる。

ディープインパクト産駒の英クラシック勝利は日本国内にも好影響を与える。欧州のサドラーズウェルズの系統と同様、日本ではディープインパクトの父、サンデーサイレンスの系統の馬が飽和状態にあり、同系統の種牡馬間の競争も激しくなっている。ディープの子供を中心に、サンデー系の引退馬が種牡馬として海外に活路を求めるケースが増えそうだ。

今年1月に引退したディープインパクト産駒のアルバートドックは、イタリアで種牡馬になった。国内では小倉大賞典や七夕賞など、G3しか勝てなかった地味な実績の馬だが、このクラスの馬にも種牡馬としての引き合いが来るのだから、ディープ産駒への欧州の競馬界の注目度の高さがわかる。サクソンウォリアーの活躍が呼び水になり、こうした流れはさらに加速するだろう。

今年も種牡馬ランキング首位

日本国内でもディープインパクト産駒の活躍は相変わらずで、18年もここまで中央競馬の種牡馬ランキングで首位を走っている(13日現在)。特に3歳馬が好調で、連対率は31.4%とかなり高い数値をたたき出している。ただ、好成績の割にG1では振るわなかった。好調の3歳馬も、ここまで行われたクラシックの桜花賞、皐月賞は、計8頭が出走して4着が最高だった。

オークスの前哨戦を快勝したサトノワルキューレはディープインパクト産駒の新勢力だ=JRA提供

その風向きも英クラシック優勝と同時に変わってきたようだ。6日の3歳限定G1、NHKマイルカップ(東京芝1600メートル)ではケイアイノーテック(牡、栗東・平田修厩舎)とギベオン(牡、栗東・藤原英昭厩舎)が1、2着を独占。ディープ産駒が今年のG1で2着以内に入ったのは古馬を含めてもこの2頭が初めてだった。13日にはジュールポレール(牝5、栗東・西園正都厩舎)が牝馬限定のG1、ヴィクトリアマイル(東京芝1600メートル)を制覇。ディープインパクト産駒が上昇気流に乗り出した。

オークスと日本ダービーにも優勝を狙える有力馬が出走する。オークスはサトノワルキューレ(牝、栗東・角居勝彦厩舎)にチャンスがありそう。前哨戦のフローラステークス(G2、東京芝2000メートル)では16頭中の最後方追走から最後の直線で一気に前をかわした。「オークスは前走より距離が延びて、レースがしやすくなる」と厩舎も期待を寄せる。ダービーには、故障で皐月賞を回避した昨年の2歳王者、ダノンプレミアム(牡、栗東・中内田充正厩舎)が出走する。久々の実戦、2400メートルへの距離延長の不安は残るが、今年の3歳牡馬では能力は一番高い。

ディープインパクトは初年度産駒が3歳となった11年以降、毎年、クラシックを勝っている。その記録を今年も伸ばせるかがオークス、ダービーでの大きな見どころになりそうだ。

(関根慶太郎)

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