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天気予報、6月から早く詳しく 気象庁がスパコン更新

6月から天気予報が大きく変わる。気象庁は計算能力を約10倍に高めた新たなスーパーコンピューターを導入。詳細な降水分布が15時間先まで予測可能となるほか、集中豪雨や暴風など激しい気象現象も早い段階で把握できるようになる。早期の予報で防災や企業活動に役立ててもらう狙いがある。

報道陣に公開された気象庁のスーパーコンピューター(東京都清瀬市の気象庁気象衛星センター)

気象庁によると、スパコンの更新で降水や台風の強さの予測期間が大幅に延長される。降水の分布が1キロ四方の細かさでわかる「降水短時間予報」は、6時間先から15時間先まで可能になる。6月下旬からホームページで公開する予定で、夕方の時点で翌朝に大雨になりそうな地域を把握できる。3日先までしか予測できなかった台風の風速や中心気圧なども、18年度中に5日先まで発表する。

19年度中には、集中豪雨や暴風などの予測に複数の計算結果を用いるシステムを導入。これまでは1種類の計算結果に基づき予測していたが、観測データにばらつきを与えてあらゆる可能性を考慮。21種類の結果から、より早く大雨や暴風を予測できるようになる。

新たに2週間先までの気温の予測値も公表する。これまでも極端な高温や低温が予想される際に臨時で「異常天候早期警戒情報」を発表しているが、「かなり高い確率が30%以上」など、確率でしか示せていなかった。19年6月ごろをめどに、約70カ所で「2週間気温予報」に切り替え、予想気温を毎日発表する。

黄砂の予測も改善する。現行のシステムでは全国の各観測地点ごとにしか分からないが、気象衛星ひまわりの観測データを新たに活用し、地図で把握できるようになる。表示する範囲も、黄砂が発生する中国大陸まで広げる。

今回のスパコンは6年ぶりの更新で、計算能力は約10倍、データ容量は30倍以上となる。導入費用は約40億円で、5年で約60億円の運用費がかかる見込みだ。気象庁の担当者は「防災や日常生活に役立ててもらうため、より早く、精度の良い気象情報を発信していきたい」としている。

精度向上、期待の声

天候の予測精度の向上に、台風や豪雨の被害防止に取り組む各地の防災担当者や、売り上げが天候に左右されることが多い農業や飲料メーカーの関係者から期待の声が上がった。

「降水量をもう少し長いスパンで確認できればいいと思っていた。素早い避難勧告や指示の発令、解除の判断がしやすくなる」。大分県中津市防災危機管理課の鳴良彦主幹は歓迎する。

2017年7月5日に起きた九州北部豪雨では、短時間に激しい雨をもたらす雨雲が発生。正午の段階で雨量は多くないとの予報だったが、午後1時ごろには大雨予報に変わっていたという。その後、大雨洪水警報が出たため、同市は午後2時半に避難勧告を出した。「早い時点で分かっていれば、もう少し早く勧告を出せていたかもしれない。新しい手法で精度が上がれば非常に助かる」と話した。

長野県内のリンゴやブドウなどの生産者らでつくる長野県果樹研究会事務局の湯本幹雄さん(51)は「作業の効率化に役立つ」と話す。

果樹はぬれている時間が長いと病気にかかりやすいといい、農薬をまいて対処する。その後すぐ雨が降っては農薬が付着せず、効果は薄くなってしまうため、「6時間以上先まで雨が降るかどうかを見通せれば、薬をまくタイミングを見極めやすくなる」という。

飲料メーカーらが参加する全国清涼飲料連合会の中田雅史専務理事によると、気温の情報は飲料の売り上げに大きく関係があるという。2週間先まで気温の予測値が発表されることに「大きな進歩。気温に応じて自動販売機の商品の温冷を切り替えやすくなる」と話す。

中田専務理事は「今後2~3カ月先までより詳しい気温の予報ができるようになれば、さらにロスが少なくなる」とさらなる精度改善に期待した。

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