スルガ銀、米山社長会見「審査より営業強く」

2018/5/15 21:19
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スルガ銀行がシェアハウストラブルについて、弁護士による調査結果を15日に明らかにした。米山明広社長は「審査よりも営業が強くなった」と今回の事態を招いた原因を語った。主なやり取りは以下のとおり。

記者会見するスルガ銀行の米山明広社長(右)と白井稔彦専務(15日午後、静岡県沼津市)

記者会見するスルガ銀行の米山明広社長(右)と白井稔彦専務(15日午後、静岡県沼津市)

――増収増益を重視する体制、営業収益至上主義という考えはどこから生じたと考えているのか。

米山社長「増収増益が続き『今期も増収増益しなければいけない』というプレッシャーに変わった。リテール部門は力が入りすぎてしまって、審査より営業が強くなってしまった」

――住宅販売会社元社員などが口座水増しをスルガ銀の行員に指示されたという証言もある。

米山社長「それについては存じ上げていない。これについても第三者委員会に見てもらわないと分からない」

――建設費の水増しやキックバックなど次第に詐欺的なスキームが浮かび上がっている。スルガ銀は被害者か加害者か。

米山社長「被害者ということはない。大変ご迷惑かけたことに申し訳ないという思いでいっぱい。第三者委で何が悪かったのか(調べる)ということに尽きる」

――今回の問題は、いつごろから始まり、いつごろピークか。今回3支店しか名前が挙がってないが、具体的な実態は。

白井稔彦専務「2013年が始まり。15、16年に増えている。横浜東口、渋谷、二子玉川の3店。その周辺含めて首都圏が中心。具体的な店名を述べられない」

――スルガ銀からスキームとして提案したのか、スマートデイズから持ち込まれた案件か。

白井専務「スルガ銀からしたものでは一切無い。業者からシェアハウスのご提案があり、お客様からも資金ニーズとしてシェアハウスビジネスがあった。業者との提携でというものではない」

――改ざんや2重契約など把握したのはいつごろか。

白井専務「改ざん把握の時期は難しい。アンケートで相当数の社員が認識していたのは判明したが、今後いつごろからどういう原因で起こったのかを、調べたい」

――オーナーへの対応は。

白井専務「スマートデイズは約700人のオーナー。そのうち面談がかなってないのが50人ほどいる。顧客とはしっかりと面談を重ね、理解をいただいたうえで、サポートしていきたい」

――米山社長の経営責任は。

米山社長「なんでこれが起きたのかを追及する。当社の深いところまでつまびらかにする。どう対策するかを講じるまでが経営責任と考えている」

――調査結果では(シェアハウスの)関連融資が議論されることがなかったとある。業績に影響を与えうると重要性を認識したのはいつか。

米山社長「17年2月まで(議論されなかった)ということだが、シェアハウスが大変だと認識したのはこのころ。稼働率をそれまで見てきたが、女性の部屋で中を見ることができないという背景もあり、中をもう少し詳しく見なければいけないという議論をしたのはこの時期だったと思う」

「過熱感が高くなってきているなというのは、昨年の後半、秋口にかけて。たくさん棟数も増えてきているし、空室も本当に大丈夫なのかと。一棟ぜんぶ借りるというのはなかなか見えない部分もあり、そのへんを調べていたのもあって、ちゃんと見ないとというのは今年1月くらい」

――融資自体は不正だったと認めるのか。

「改ざんや不正な取り扱いによって融資が多く引き出されたということであって、我々が不正融資したわけではない」

――最高経営責任者である会長は来ていない。

米山社長「今回は私が報告するのが筋だということだ」

――貸倒引当金は今後もっと増えるのか。

八木健取締役「3月時点で可能な限り積んでいる。今期、状況の変化によって区分変更があり、変更による積み増しもないとは言い切れない」

――銀行として経営を続けられるものなのか。

米山社長「全体に比べれば一部の業務。これまで取り組んできたことは継続する。その意志は変わらない。十分に反省をしていきたいと考えている」

――個人向けローンが屋台骨。今回の件で個人は評判を気にする。影響が出るのでは。

米山社長「否定はできない。しかし他の金融機関では取り組めない対象にチャレンジしてきた。ブランドは毀損したかもしれないが、ずっと取り組んでいた新タイプの住宅ローンなどリテールビジネスには自信がある」

不自然さ認識も追及せず

スルガ銀の危機管理委員会の調査結果の概要は以下のとおり。

■通帳の偽造・改ざん

スマートデイズの関連の販売会社により、顧客がスルガ銀行に提出する自己資金の残高を証明する通帳等の偽造・改ざんが相当数行われていた。スルガ銀行は自己資金確認資料(通帳等)については原本確認を行うことになっていたのにもかかわらず、その手続きが省略されていた。

■二重契約

スマートデイズの関連の販売会社と顧客により、本来受けることのできる金額より多額の融資を受けるために、実際の売買契約書とは別に売買代金を水増しした「銀行提出用」の売買契約書が作られていた。

例えば自己資金はゼロなのに、販売会社が一時的に立て替え、自己資金が1500万円が存在するかのようにする。売買価格は8500万円なのに、1億円とすることで、顧客は自己資金なしで8500万円の資金を得ることができる。

■行員の認識

複数の営業担当者は顧客が示した自己資金額について年齢、収入を踏まえると不自然さを感じた案件もあったと述べている。しかし疑いをさらに追及するという対応は採られなかった。

■内部統制の不全

前年比増収増益を継続しなくてはならないという全社的なプレッシャーから、事実上、営業が審査部より優位に立ち、営業部門の幹部が融資の実行に難色を示す審査部担当者を恫喝(どうかつ)するなど、圧力をかけることも行われた。

■ビジネスリスク分析不在

シェアハウス案件はアパートローンの延長としか捉えず、新規ビジネスとしての事前のリスク評価はなされなかった。

■ガバナンスの不全

2017年2月まで取締役会、経営会議などでスマートデイズ関連融資について議論がなされることがなかった。

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