2018年9月20日(木)

自動車の脱ディーゼル、白金相場を直撃

コラム(ビジネス)
2018/5/16 6:30
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 プラチナ(白金)への逆風が強まっている。世界の自動車大手が相次ぎディーゼル車生産からの一部撤退を発表しているためだ。プラチナはディーゼル車の触媒用途が需要全体の4割を占め「脱ディーゼル」の影響は無視できない。将来の需要減を見越してプラチナ相場の低迷が一段と長引く様相を帯び始めた。

 プラチナ相場の国際指標となるニューヨーク先物は5月初め、1トロイオンス890ドル台と4カ月半ぶりの安値をつけた。1月下旬につけた高値に比べて1割安い。5年前に比べると4割も下がった。

 プラチナ相場は2011年には1800ドル台と、同じ貴金属の金よりも100~200ドル程度高かった。中国の宝飾需要が好調で、主産地の南アフリカでの鉱山労働者のストライキや電力不足による供給減観測が強まったためだ。南アの労使交渉は14年に収束し供給懸念は和らいだ。

 かつては「最も高価な貴金属」とも言われたプラチナ。だが取り巻く環境は変わってきた。ディーゼル車向けの需要先細りが無視できない弱材料になっている。

 ディーゼル車は15年に明らかになった独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題をきっかけに、消費者のイメージが悪化。主力市場の欧州でディーゼル車離れが深刻になった。調査会社の英LMCオートモーティブによると、今年3月の欧州の新車販売に占めるディーゼル車の割合は36.7%と14年の約54%に比べて大幅に減った。消費者はディーゼル車よりガソリン車やハイブリッド車(HV)を選ぶ傾向がより鮮明になった。

 自動車メーカーのディーゼル車撤退の動きも広がっている。日産自動車は欧州のディーゼル車販売から撤退する。トヨタ自動車SUBARU(スバル)も撤退を表明した。海外でもスウェーデンのボルボ・カーや仏ルノーなどが次世代ディーゼルエンジンの開発を取りやめ、電気自動車(EV)への集中を進める。

 ドイツでは裁判所がディーゼル車の市街地への乗り入れ禁止を認めるなど、国レベルでも脱ディーゼルの動きが鮮明になっている。

 消費者、メーカー、国の脱ディーゼルの動きがプラチナ相場にも大きな影響を及ぼしている状況だ。プラチナは「900ドルを割ると割安感から買いが入るパターンが多かったが、現状では積極的に買い進める材料に乏しい」(サンワード貿易の陳晁熙チーフアナリスト)との見方が支配的だ。

 プラチナの国際価格は17年9月以降、ガソリン車の触媒に使うパラジウムよりも安くなった。将来、品薄感の強いパラジウムに代わってガソリン車の触媒をプラチナで代替するとの見方もある。ただ「プラチナとパラジウムの価格差が切り替えコストに見合うほど大きく開くなどの確信がもてない限りは買い進みづらい」と、ICBCスタンダードバンクの池水雄一東京支店長は指摘する。

(今橋瑠璃華)

[日経産業新聞5月16日付]

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