理研、生命分野の新センター 神戸などの3拠点改組
理化学研究所は15日、改組によって4月に発足した「生命機能科学研究センター」の概要を公表した。神戸市を主な拠点に、細胞の働きや臓器形成、老化などの仕組みを解明し、医療などの基盤とする狙い。西田栄介センター長は「世界トップレベルの研究をけん引し、推進するセンターにしたい」と抱負を語った。
新センターは神戸市や大阪府吹田市、横浜市などに分散していた多細胞システム形成研究センター、生命システム研究センター、ライフサイエンス技術基盤研究センターを統合した。主任研究者65人を抱え、常勤の研究者300人、学生や研修生を合わせると約600人に上る。
分子生物学や生物情報学など広い研究分野をカバーする。理研の小安重夫理事は「日常的に会話することで新しいアイデアが生まれる。その機会を増やすことが大切だ」と改組の意義を語った。
前身の一つである多細胞システム形成研究センターはもともと「発生・再生科学総合研究センター」として2000年に設立された。14年に起き、論文不正が認定されたSTAP細胞を巡る騒動を受け、名称や組織を変えた経緯がある。
新センターは研究不正防止の取り組みとして、分野ごとに6人の研究倫理責任者を置き、データ管理や発表方法などを点検する。西田センター長は「研究者間の情報交換で透明性の高い研究活動を進める」と説明した。