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日本郵政、陰る収益力 マイナス金利で19年3月期28%減益

日本郵政は15日、2019年3月期の連結純利益が前期比28%減の3300億円になる見通しだと発表した。マイナス金利の影響で稼ぎ頭のゆうちょ銀行の運用がふるわない。ゆうちょ銀頼みの収益構造に陰りが見えつつある。日本郵政の長門正貢社長は記者会見でM&A(合併・買収)を念頭に「3年間で数千億円の投資も視野に収益の底上げをめざす」と強調。成長分野の開拓に力を注ぐ考えを示した。

18年3月期は連結純利益が4606億円。前の期は経営難の豪物流子会社トール・ホールディングスの減損損失を計上して民営化後初の最終赤字だったが、2期ぶりに黒字に戻った。日本郵便の宅配便「ゆうパック」の取扱数が25.6%増と大幅に伸びて過去最高の8億7588万個に達したことも寄与した。

ただ、経営展望は険しい。15日発表した20年度まで3年間の中期経営計画がそれを表している。

まずグループの純利益の約8割を稼ぐゆうちょ銀が減速する。19年3月期の純利益は前期より927億円落ち込んで2600億円と、9期ぶりに3000億円を下回る。

融資業務のできない同行は市場での資金運用が収益の柱だが、池田憲人社長は「マイナス金利の影響が非常に大きい」と説明した。今後は利回りの見込めない国債投資を減らし、オルタナティブ投資などを進める。比較的厚い利ざやの見込めるリスク性資産残高は現在の79兆円から3年間で87兆円まで拡大する。

それでも以前の水準には戻りきらない。中計最終年度の21年3月期の純利益は2800億円にとどまると見込む。

日本郵便は収益の拡大に向けて15年に豪トールを買収したが、17年3月期に約4000億円の減損処理を迫られた。今後3年間でトール社の経営改善に取り組むと同時に、国内で同社のノウハウを活用した新事業の立ち上げを計画。前期の収益を底上げした「ゆうパック」については、取扱数を20年度に10億5千万個まで増やす目標も掲げた。ただ人手不足の足かせもあり、ここからの急成長は望みにくい。

持ち株会社の日本郵政は、4月に不動産子会社を設立するなど新たな成長分野を模索している。ただ、安定してグループの収益に貢献するには時間がかかりそうだ。

こうした状況で、再び浮上しているのがM&A戦略だ。17年には、不動産事業のテコ入れ策として野村不動産ホールディングスの買収を検討したが、不調に終わった。中計では具体的な分野に触れていないが、「トール社の減損経験も踏まえた規律ある投資」(長門社長)をできるかがカギとなる。

収益の底上げには業務の効率化も求められる。中期計画では1兆円規模のインフラ投資も発表した。郵便局舎の工事に1380億円を充てる。ゆうちょ銀行は貯金事務センターの建て替えやATMの購入などに1300億円、かんぽ生命保険はシステム開発や新しい携帯端末の導入などに1500億円を投じる。

中期計画はIT(情報技術)活用の推進を打ち出し、ゆうちょ銀で2000人相当、かんぽ生命で1000人相当の業務量を削減する方針も盛り込んだ。一方でゆうちょ銀で800人、かんぽ生命で500人を成長分野に振り向けるなど人材の有効活用も探っている。

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