子宮頸がんワクチンに効果 若い女性の病変リスク減
15~26歳の女性が子宮頸(けい)がんワクチンを接種することで、がんになる前段階の「前がん性病変」になるリスクが下がるとの調査結果を医療の科学的根拠を評価する国際組織「コクラン共同計画」が15日までに発表した。世界各国の複数の臨床研究を分析した。
ワクチンを巡っては、接種後に全身の痛みなどを訴える例が相次いだため、国は接種の積極的な呼び掛けを中止。一方で日本産科婦人科学会などは再開を求めている。コクランジャパンの森臨太郎代表は「結果は副作用を否定するものではない。だが、ワクチンを推進する根拠の一つとなる」と話している。
ワクチンは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐとされる。
コクラン共同計画は過去8年間の計26の臨床研究についてデータを分析。15~26歳の女性が前がん性病変を発症する割合は、未接種者は1万人当たり559人なのに対し、接種者は391人だった。HPV未感染の女性に限ると、ワクチンで発症割合が82分の1に減った。
より年齢の高い女性では効果がなく、感染前の接種が必要とみられる。また重い副作用の発生率は約7%で、ワクチン成分の入っていない偽薬を投与したグループと変わらなかった。
前がん性病変からがんに進行するには時間がかかるため、がんの予防効果をはっきり示せたわけではないが、コクランは「子宮頸がんの発症率を抑えられる可能性が極めて高い」としている。〔共同〕