フリー、API公開 外部サービスと連携しやすく
クラウド会計ソフトのフリー(東京・品川)は15日、クラウドソフトを使う企業の業務効率を高めるための支援サービスを強化すると発表した。「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」と呼ばれる技術仕様を他のクラウドソフト事業者向けに公開する。自社のソフトと連携したい事業者を支援する専門チームも立ち上げた。まずは営業と経理の請求書や入金確認にかかる業務負担を減らすため、米セールスフォース・ドットコムの顧客情報管理(CRM)ソフトなど8社とAPIを連携した。

APIは外部のシステムと接続・連携する端子のような役割を担う。6月に施行予定の改正銀行法では金融機関がAPI接続の努力義務を課されるなど、複数のサービス間での連動による利便性向上が求められている。
フリーはまず、営業と経理をつなぐ販売管理の分野でAPIを公開する。従来は営業部が案件を受注した後、メールや口頭などで経理部へ請求書申請する必要がある。APIを連携すれば、例えば営業部がセールスフォースのシステム上で請求書発行の申請すると自動でフリーの会計ソフトに請求書作成の注文が飛ぶといった仕組みが構築でき、業務の手間が省ける。
15日、記者会見した佐々木大輔社長は創業した5年前に比べ、国内のクラウドサービスの利用率が2倍以上に成長したデータを紹介。一方、複数のサービスの機能が連携していないことで、逆に業務に支障をきたしやすくなる「タコつぼ化」が問題だと指摘した。さらに連携を進めるため、フリーと自社のAPIをつなげたい人向けの専用サイトと専門の支援チームを開設した。
フリーの会計ソフトの利用企業は100万事業所を超えた。2014年に提供を始めた人事労務ソフトの提供も10万事業所を突破しており、今後は労務ソフト上の給与計算や勤怠の機能と社内業務システムのAPI連携なども想定している。
(吉田楓)
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