/

ドライバー乱調 悩める石川遼に試練の日々

編集委員 吉良幸雄

「フォアー」。ショットが曲がった際に、ロープ外の観戦ギャラリーに打球事故の注意を喚起する声をどれだけ叫んだだろう。男子ゴルフの国内メジャー初戦、第86回日本プロ選手権(千葉県房総CC房総・東=7324ヤード、パー72)に2年ぶりに出場、2015年日本シリーズJT杯に次ぐメジャー2冠を目指した石川遼(26)。初日に68をマークして4位と好スタートを切りながら、ドライバーショットの乱調が響き、通算3オーバー、34位に沈んだ。

6バーディー、2ボギーで回った第1ラウンドは、パー3を除く14ホールのうち6回フェアウエーをとらえ、フェアウエーキープ率は42.86%。「きょうはティーショットが思った通りの球を打てていた。(悪癖の)プッシュアウトの原因がちょっとわかってきた」と好感触を口にした。国内開幕戦直前の2日間大会、千葉オープン、岐阜オープンを2連勝し、東建ホームメイト杯では2位。ドライバーの精度はそのころに近づいていると手応えをつかんだかに見えたが、一日で暗転した。同キープ率は第2ラウンド以降14.29%(2回)、21.43%(3回)、35.71%(5回)とさえず、4日間平均28.57%。決勝ラウンドに進んだ60選手の中で最下位となり、順位も4位から18位、33位、34位と下降曲線をたどった。

石川はティーショットの安定感を取り戻せなかった=共同

ツアー初開催のコースはフェアウエー幅が平均27~28ヤードで決して狭くない。ラフは70ミリ。さほど深くはないものの芝が太くて立ち、ボールがすっぽり埋まることも。大会主催者である日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は大会前日に「ラフに入れたら0.5打の罰を」と話した。予選ラウンド後には、石川の苦戦にも触れ「残念ながらフェアウエーにいかない人にチャンスはない」。案の定、優勝争いに加わることすらできなかった。日本プロで、石川は今回を含め7回出場し予選落ちが5回。11年の12位を上回ることもできなかった。芝が元気な時期に開催され、ラフが深く難しいコースセッティングの大会で、ドライバーショットが不安定だと傷を負いやすい。

「苦しいけれど目そむけぬ」

致命傷となったのは3日目の17番(457ヤード、パー4)。ドライバーショットは右OBで、打ち直しの第3打もラフに。第4打は硬いグリーンに止まらず奥へ。5オン2パットのトリプルボギーとなり、イーブンパーから3オーバーに落とした。右へのプッシュアウトを嫌がると、左に曲がる。最終日も1番からドライバーショットが左へ飛んで「フォアー」と叫び、ギャラリーの脚に当たった。いいスイングができたときはかなり飛距離も出るが、インパクトで体が開きがちでプッシュアウトに。それを警戒するとフェースがかぶり左へ飛ぶ。代わりに3番ウッドでティーショットを打つ方策もあるだろうが「ドライバーを持たない選択肢はない。14本のクラブのうち不安要素が1本でもあれば、前へ進んでいけない。日本でも勝てないし世界へ行っても通用しない」と石川。曲がるのを怖がらず、自分のスイングをするしかない。「今はそういう時期。苦しいけれど目をそむけずに練習、試合を繰り返すしかない」と覚悟している。アプローチ、パットなどの小技は秀逸だけにドライバーの曲がり幅を抑えられれば、いつでも勝てるだろう。17年10月から取り組み始めたスイング改造はいまだ道半ばで、完成の域に達するには「夏以降になるのでは」。もどかしい思いを抱えながら、試練の日々が続く。

石川らと並んで、初日4位と順調に滑り出した前年覇者の宮里優作(37)は4アンダーの6位で04、05年のS・K・ホ(韓国)以来の大会連覇はならなかった。石川と同じく、宮里も3日目の17番に泣いた。ドライバーショットがよもやの右OBで、揚げ句に3パット。ダブルパーの「8」の大たたきで、6アンダーの首位から一気に2アンダーに転落した。覆水盆に返らずだが、せめてダブルボギーに収めていれば、6アンダーで優勝した谷口徹(50)、藤本佳則(28)と並んでいたのに。最終日を70で終えた本人も、勝負の分かれ目について「昨日じゃないですか。17番でたたいてしまったのが最後まで……」と悔やんだ。大会前は世界ランク(60位)をキープするためにも「5位以内がマスト」と話していたが、6位タイ(6人)にとどまり、同ランクは63位に下がった。6月の全米オープン(14~17日)に出場するには60位以内に入る必要がある。この先、欧州ツアーのBMW選手権(英国、24~27日)、米ツアーのメモリアル・トーナメント(31日~6月3日)に出場。「あと2試合、海外で頑張って世界ランク60位以内に入れるように」と気持ちを切り替えていた。

谷口は大会史上最年長優勝を果たし、インタビューで涙を流した=共同

谷口、若手から刺激受け若さ保つ

雨中の決戦となったプレーオフ2ホール目で藤本を破った谷口は1996年の日本プロ、日本シリーズを49歳で制した尾崎将司の記録を塗り替え、大会最年長優勝、国内メジャー最年長Vを果たした。終盤から勝負を左右する5メートルの「クラッチパット」を立て続けに沈めた名手のパット力には驚くばかり。今年3月の宮崎合宿に初めて参加した小鯛竜也は谷口に「構えたときに、もっと入れたいという気持ちが見えないと」と指摘されたそうだが、集中力を増したときの谷口がパターを握ると、どこからでも入るような雰囲気が立ち上る。PL学園高、同志社大時代は目立った活躍はないが、自らのゴルフを追究し98年にプロ7年目でツアー初優勝。メジャー5勝(日本プロ3勝、日本オープン2勝)を含む通算20勝をマークした。「若いときに才能があっても、どこかで壁に当たる。壁を乗り越えないといけない」。若手に対し「もっと『考える力』がないと」とコースマネジメントの大切さを訴える。宮崎合宿には毎年、武藤俊憲や大堀裕次郎らが参加。ジャンボ軍団を率いた尾崎将のように、谷口も後輩や若手プロと練習やラウンド、食事をともにすることで刺激を受け、若さを保っている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン