2018年9月26日(水)

エールフランス「消滅の危機」 ストや人件費で苦境

2018/5/15 11:57
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 【パリ=白石透冴】仏蘭エールフランスKLMの経営が視界不良に陥っている。同社は2004年に仏エールフランスとKLMオランダ航空が統合してできたが、足を引っ張っているのはエールフランス。ストの影響で第1四半期は最終赤字幅が拡大し、中長期的な収益力も、高い人件費や格安航空会社(LCC)との競争で伸び悩む。エールフランスKLM筆頭株主の仏政府に「エールフランスは消滅するかもしれない」と指摘される始末だ。

■仏政府「操縦士の給与が高い」

 エールフランスKLMは15日、株主総会を開く。18年1~3月期の最終損益が2億6900万ユーロ(約350億円)の赤字(前年同期は1億4300万ユーロの赤字)と悪化したことなどに株主の関心が集まる見通しだ。

 エールフランスは今春の賃上げ交渉が難航し、経営側は「2021年までに7%の昇給」などの条件を示した。だが社員を対象にした投票で55.44%が反対して否決。エールフランスKLM会長兼最高経営責任者(CEO)とエールフランス会長に就くジャナイヤック氏は直後の4日、2つの役職からの辞任を表明した。労組側はさらなる待遇改善を求め、スト継続を辞さない構えだ。

 2月以降のストの合計日数は2週間を超え、エールフランスの4月の乗客数は前年同月比9%下がった。KLMの乗客数は同月に5%伸びた。エールフランスKLMの株価も3カ月で約3割下がっている。

 同社に14.3%を出資する筆頭株主、仏政府のルメール経済相は労組側にいらだちを隠さない。6日、仏メディアにエールフランス操縦士の給与は高いと指摘し「競争力を改善する努力をしなければ、エールフランスは消滅する危険がある」と異例の表現で語った。

 17年に誕生したマクロン政権は企業の活性化を中心的な戦略の一つに掲げている。エールフランスが今回の労使交渉だけでなく、中長期的な経営改革も遅れているとの危機感があり、こうした表現につながった。

 エールフランスKLMの最終損益は高コスト体質などが災いして赤字続きだったが、リストラ策が功を奏して15年度に7年ぶりの黒字を達成。17年度は営業利益を出したものの、最終損益で再び赤字に転落した。

■乗客数、LCCの3分の1

 KLMの営業利益率が16年度から17年度に1.9ポイント改善し8.8%になったのに対し、エールフランスは同期間に1.3ポイント改善の3.7%と稼ぐ力に差が付いている。

 仏メディアは、エールフランスの人件費の高さを一因として指摘する。エールフランスKLMの売上高に占める人件費は30%。独ルフトハンザの23%、ブリティッシュ・エアウェイズなどを持つ英インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)の22%に後れを取る。急な賃上げに経営陣が慎重になるのも無理はない。

 短・中距離ではアイルランドの格安航空会社(LCC)ライアンエアー、英イージージェットに押される。仏経済紙レゼコーによると、エールフランスの短・中距離での乗客数は17年、ライアンエアーの3分の1にとどまった。

 原油も再び1バレル70ドルを超えた今、乗客数を伸ばす戦略も選択肢が狭まる。エールフランスKLMの新CEOは難しいタイミングで経営を引き継ぐことになる。

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