厚労省の裁量制調査、異常値966件 厚労相「反省」
厚生労働省の裁量労働制調査に不備があった問題をめぐり、同省は15日、裁量制と実態比較する対象とした一般労働者のデータに計966事業所で異常値があったとする精査結果を公表した。1日の残業時間が1カ月分を上回るなど不自然な例が見つかった。加藤勝信厚労相は15日の衆院厚生労働委員会で「謙虚に反省しなければならない」と述べた。

衆院厚労委理事会に示した。裁量制で1日の労働時間が「1時間以下」といった異常値が見つかり、厚労省はすでに3月に裁量制のデータを撤回した。今回は一般労働者のデータ。調査対象の1万1575事業所から、異常値を確認した事業所と、裁量制で働く人と一般労働者の両方を抱える事業所を除いた9083事業所を再集計した。
当初、一般労働者の残業時間は1日平均1時間37分としていたが、精査の結果、1時間33分に短縮された。対象事業所が約2割減ったことに厚労省は「統計的な数値としては有意」としている。
問題となっているのは、厚労省の「2013年度労働時間等総合実態調査」。労働基準監督官が全国の事業所を調べ、裁量制で働く人の労働時間は1日平均9時間16分、一般労働者は残業時間に法定労働時間(8時間)を足して同じく9時間37分としていた。安倍晋三首相は「裁量制で働く人の方が一般労働者よりも労働時間が短いとのデータがある」と答弁した。
だが、2月に調査のミスが相次いで判明。働き方改革関連法案に盛り込まれていた裁量制の対象業務拡大は、全面的な削除に追い込まれる事態になった。厚労省は裁量制の実態を再調査することにしている。
立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は15日午前、働き方改革関連法案について「ずさんな調査結果に基づいて議論すべきではない」と述べた。国会内で記者団の質問に答えた。