2018年5月28日(月)

大正製薬、富山化学売却で問われる医療用医薬の覚悟

ヘルスケア
2018/5/14 20:11
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 大正製薬ホールディングスは14日、34%出資する医療用医薬の中堅メーカー、富山化学工業(東京・新宿)の全株式を富士フイルムホールディングスに売却すると発表した。医療用医薬は薬価改定による価格下げの影響などで競争環境が厳しい。大正製薬HDは医療用医薬の縮小には言及しなかったが、今後の戦略が改めて問われそうだ。

大正製薬ホールディングスの上原明社長(14日、東京都内)

 66%を出資する筆頭株主の富士フイルムHDに7月31日付で売却する。大正製薬HDの上原茂副社長は売却の背景について「資本業務提携した10年前とは医療用医薬を巡る環境が変わった」と述べた。売却で2019年3月期に計上する特別利益418億円の使途については、東南アジアなどでの事業拡大に加え、主力の大衆薬で「買収も視野にある」とした。

 大正製薬HDの大衆薬と医療用医薬の売上高比率は約2対1。富山化学は持ち分法適用会社で、市場では「短期的には富山化学売却の影響は小さい」(大和証券の橋口和明シニアアナリスト)とみられる。ただしモルガン・スタンレーMUFG証券の村岡真一郎アナリストは「業績見通しの厳しい医療用での事業整理が進めば、大正製薬にとってプラスに働く」と見る。

 同日発表した大正製薬HDの18年3月期連結決算は堅調だ。売上高は前の期比0.1%増の2800億円。営業利益は、風邪薬「パブロンシリーズ」の販売増や海外大衆薬の貢献で15.7%増の369億円だった。

 しかし19年3月期は医療用医薬で薬価改定に伴う大幅な減収を見込む。抗生物質の多用による耐性菌増加を防ぐために、抗生物質の処方を抑える政策も打撃となる。経営陣らの危機感は強い。

 大正製薬HDは同日、創業以来初となる早期退職の募集も発表した。40歳以上が対象で、目標数は定めていないが、全従業員約6300人の半数の約3000人が対象に含まれる。上原明社長はこの日の説明会で「中長期的に発展軌道に乗せるためにはやらなければならない」と説明。競争環境の激化をにらみ、組織のスリム化が欠かせないとの判断を強調した。

 大衆薬と医療用医薬は今のところ大正製薬HDの両輪だが、医療用医薬のあり方が注目される。

(企業報道部 桜井豪)

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