2018年9月22日(土)

水の美創る 緻密な計算 光栄の噴水(もっと関西)
ここに技あり

コラム(地域)
2018/5/14 17:00
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 ノズルから放たれた水はらせんを描きながら上に伸び、やがて水滴になって地面に降り注ぐ。噴き出す水がつくる模様は一定の水圧の時にだけ現れ、調節用のバルブを少し強くひねっただけで消えてしまう。噴水メーカーの光栄(大阪市西区)は1ミリメートル単位、100分の1秒単位の緻密な計算によって水を操り、人々を楽しませる美を創り出している。

 同社は噴水の企画から製造、点検補修までを担う専門企業だ。1987年の設立以来、全国で300近くの噴水を施工してきた。JR大阪駅北側の再開発ビル「グランフロント大阪」の前にある階段状の噴水や、大丸梅田店などが入居する「サウスゲートビルディング」にある水滴で数字を浮かび上がらせる「水の時計」も光栄が手掛けた作品だ。

バルブで水量を調節し模様を作る

バルブで水量を調節し模様を作る

 噴水づくりは施主への聞き取りから始まる。「周囲の建物を見て、来客層を聞きながら(水の形状などの)デザインや演出を提案する」と高瀬将員プロジェクトマネジャーは話す。ショッピングモールなどの子供が多い場所と、ホテルロビーのような大人が集まる場所では噴水に求める雰囲気も異なるからだ。

 デザインや演出は、口頭で説明しにくいケースも多い。そこで堺市にある実験施設にモックアップ(模型)の噴水を組み上げ、水を流して施主に見栄えを確認してもらう。何度も話し合い、二人三脚で目指すイメージに近づけていく。

 デザインがかたまると設計に移る。ここがポイントだ。噴水の高さや水の流量、流速を決め、配管やノズルを設計する。噴水は配管の長さ、太さ、ノズルの形のすべてがかみ合って初めて思い描く姿になるという。1ミリメートル単位で計算し、配置や形状を決めていく。

 水の吐出量やタイミングを制御するソフトウエアも重要だ。水の時計は100分の1秒単位で弁の開閉を制御するプログラムを搭載することで、数字を浮かび上がらせている。

 一つとして同じ噴水はなく、毎回ゼロからのスタートだという。長いものでは受注から数年かけて仕上げる場合もある。根気が求められる仕事だが「やりがいは大きい」(高瀬さん)。

 最近は映像を投映するプロジェクションマッピングや音楽との融合にも取り組む。福岡市にある商業施設「キャナルシティ博多」では、人気アニメキャラクターの映像に連動して水が噴き出すイベントの演出を手掛けた。「先人がつくり上げた噴水に新しい技術を組み合わせて、よりよいものにしたい」と高瀬さんは話す。

文 大阪経済部 香月夏子

写真 目良友樹

 カメラマンひとこと 「シューッ」という音とともにノズルから水が噴き出す。開発担当者がバルブを調節すると、徐々に模様が現れ始めた。水の躍動感を強調しようと、かっぱを着て近づく。拭いても拭いてもレンズに付く水滴と格闘しながらシャッターを切った。逆光気味にストロボを光らせると、暗い実験室に美しい水のフォルムが浮かび上がった。

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