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気になる重いランドセル 姿勢にも走りにも影響
ランニングインストラクター 斉藤太郎

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2018/5/16 6:30
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ところで先日、今季1勝目を挙げた中日の松坂大輔選手を紹介した朝日新聞の紙面では、西武時代のプロ初勝利(1999年)の写真が併せて掲載されていました。今のフォームも見事ですが、私が興味を持ったのはプロ1勝目の写真でした。専門外の私が見ても、「怪物」といわれていたあのころの上体の使い方は、こんにゃくのようにしなやかだったのだと思える1ショットでした。

ランドセルの影響

一番下の子がこの春からランドセルを背負って小学校に通いだしました。1週間くらいして気づいたのは姿勢の崩れです。理想のシルエットは、横から見ると背骨全体が「S」の字を描きます。腰椎が前にカーブすることで骨盤が前傾し、楽に垂直に立つことができます。ところが、我が子は腰椎のカーブが失われ、真っすぐになってしまっていました。上体については鎖骨周りが縮こまったように固まっていて、猫背姿勢になりかけていました。間違いなくランドセルの影響です。

窮屈な姿勢で仕事を頑張った一日をリセットするためのストレッチを習慣づけるのが大切

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背が小さくて、これまではほんの少しの荷物を持ってバスで通園していた子が5キロくらいはあると思われるランドセルを背負い、片道約2キロを歩いて通学しています。「鍛えられていい」と話す方もいますが、弊害の方が大きいでしょう。小さい子がこれだけ重い物を長時間背負えば骨格のバランスが崩れます。崩れた骨格で歩くと非効率的な筋肉の発達を助長し、本来発達すべき筋肉は置き去りにされます。その結果、非効率的な体形になってしまう懸念があります。

ランドセルの重さゆえ、腕を大きく振ることができません。腕振りの動力が背骨を伝って骨盤の回旋につながり、脚が動く。そうした本来あるべき体の連動は一切失われます。骨盤周りや脚の付け根も固まって機能しなくなるため、極端にいうと、ももとふくらはぎの筋肉だけで歩く動作に体が慣れてしまい、脚の筋肉肥大が起きることになります。

だからといって、直ちにランドセルを軽くしろというわけにもいきません。よって、せめてお風呂上がりにでも一日の頑張りをリセットするストレッチをしてあげるなどのケアが効果的かと思います。学校に着いたらランドセルを置いて、深呼吸や体操でもする習慣があるといいのですが。

週5日の登校では一日の授業数が多く、ランドセルが重たくなる要因になっているそうです。高学年になるとランドセルが10キロを超えることもあるという話も聞きました。習慣を変えられないことは仕方がありませんが、それによる体形の崩れを修正してあげないと、ランニング時に腕を振れないだけでなく、体の成長に悪影響をもたらすことになります。少しでも負担を減らすためにも、一番近くにいる家族がいろいろな手立てでいたわってあげたいところです。

大人のランナーの傾向

大人の指導では上体の硬さに加えて、このところ下半身の硬さを顕著に感じています。骨盤から先の脚を後ろ方向にスイングできない方が多いのです。骨盤が前傾して大腿骨が後ろにスイングされれば、腸腰筋が引っ張られた反動で縮みます。このメカニズムを左右交互に利用することで、走る効率が高まるのです。

脚を後ろにスイングできないと、ももを前に持ち上げるという筋肉の使い方で走ることになります。この仕組みを腕に置き換えると、重たいダンベルを持って肘を曲げ伸ばしする動作に似ています。毎回ものすごいエネルギーを使って持ち上げます。二の腕の筋肉はすぐにパンパンになり、疲弊します。そんな非効率な足運びなのです。

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