2019年4月25日(木)

高齢化進む帰国残留邦人 介護の支援求める声も

2018/5/14 14:00
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戦前戦中に開拓団として中国東北部(旧満州)や樺太に渡って取り残され、1970年代以降に帰国が本格化した残留邦人の高齢化が進んでいる。厚生労働省によると、平均年齢は75歳を超える。言葉の壁で孤立する帰国者を支える介護施設も増えたが、地方では経営に苦しむケースも。国策に翻弄された苦労に報いるべきだとして支援拡充を求める声が高まっている。

「ふれあい街道ニイハオ」を利用する中国からの帰国者(3月13日、長野県飯田市)=共同

「言葉が分からなくてね。いじめられていると思ったの」。中国残留孤児の木村和子さん(78)=埼玉県所沢市=は昨年6月、骨折を機に入所した介護施設で自殺を図った。言葉や文化の違いから他の利用者と打ち解けることができず、日本語中心の集団生活にもなじめなかったからだ。

幸い回復は早く、残留孤児2世の女性らがヘルパーを務める介護事業所「虹」の訪問介護を自宅で受け始めると、本来のおしゃべりな木村さんに戻った。中国での思い出話を楽しみ、慣れた言葉で細かい要望もできる環境に「娘が増えたみたい」と笑顔を見せる。

青森県出身の両親が開拓団として中国に渡り、現地で出生。終戦後は中国人家庭の養子となり、現地で結婚して88年に永住帰国を果たした。虹のヘルパーで残留孤児2世の上條真理子さん(39)は「帰国者は、中国では日本人、日本では中国人と言われて苦しんできた。老後は穏やかに過ごしてほしい」と話す。

厚労省の2015年度の調査では、残留邦人の約9割が70歳を超えた。家族を含めた永住帰国者は18年4月末現在、約2万人いるとされる。

要介護者の増加を受け、帰国者が多い東京都板橋区や横浜市泉区などでは、専門事業所が相次いで開業。虹を運営するNPOもデイサービス施設の新設を目指している。

一方、帰国者が分散する地方では、経営が厳しい施設が多い。

多くの開拓団を送り出した長野県飯田市で05年に開業し、帰国者約20人が通う「ふれあい街道ニイハオ」は、専門事業所として先駆け的な存在。最近は利用者の高齢化や他施設との競合で定員割れが続くが、家族と死別して一人暮らしの帰国者もおり、貴重な交流の場となっている。

同施設の樋口顕勇所長は「小規模な事業所は、志のある人がギリギリの経営で運営している。帰国者の孤立が深刻化する恐れもあり、国は介護施設への支援を積極的に考えてほしい」と訴えた。〔共同〕

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