鉄鋼最大手ミタル、「鉄冷え」後に拡大路線再び

2018/5/11 17:50
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【フランクフルト=深尾幸生】鉄鋼世界最大手の欧州アルセロール・ミタルが再び拡大路線に動き出している。市況悪化で多額の赤字を余儀なくされた「鉄冷え」が終わり、イタリアの同業買収を決めてインドでも攻めに出る。11日に発表した2018年1~3月期決算の収益回復が鮮明で、鉄の巨人は自信を深める。リスクは米トランプ政権の保護主義による市況への影響だ。

「鉄鋼市況の改善は18年に入っても続いている。世界的に健全な利幅を確保できている」。ラクシュミ・ミタル最高経営責任者(CEO)は同日の声明でこう述べた。これまで決算発表のたびに指摘してきた過剰生産への懸念も、今回は発表文に盛り込まなかった。

18年1~3月の決算は、純利益が前年同期比19%増の11億9200万ドル(約1300億円)。市況が引き続き好調で、収益性の指標のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は13%増だ。

売上高は19%増の191億8600万ドル。期中の粗鋼生産量は2330万トンと前年同期比1%減ったが、1トンあたりの平均販売価格は18%上昇した。17年10~12月と比べても主要地域すべてで単価が上昇し、平均8%高くなった。

ミタルは4月にブラジル条鋼大手ボトランチン・シデルルジアの買収を完了。イタリア鉄鋼最大手イルバの買収も欧州規制当局の承認を得て、6月までに手続きを終える見通し。インド4位のエッサール・スチールを巡っては新日鉄住金と組み買収に名乗りを上げた。

エッサール買収計画では、同社の生産量を今の3倍の年間1500万~2000万トンに引き上げるという。00年代にミタル氏が主導し、同業をのみ込み業界首位に駆け上がった時の強気の姿勢が戻ってきた。

鉄鋼業界では、米国が3月に発動した輸入制限が波紋を呼んでいる。ミタルは米国で現地生産しており直接的な影響は限定的だ。だが、行き場を無くした中国製鋼材などが他の市場に大量に流れ込めば、現在の「健全な」市況を背景にしたミタルの拡大戦略の土台が揺らぐ可能性もある。

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