2018年10月23日(火)

足踏みするヤフー(1) 痛恨の3つのミス

コンフィデンシャル
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2018/5/14 6:30
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ヤフーが正念場を迎えている。日本のインターネット企業の第1世代として国内では圧倒的な地位を築いたが、創業20年をすぎて停滞感が漂う。4月に発足した新経営体制はどんな再生の絵を描くのか。4回連載で検証する。(杉本貴司、大西綾)

■巨人になれず、ベンチャーから追い上げ

1月24日、ヤフーは6年間社長を務めた宮坂学の退任を発表し、後任に副社長兼最高執行責任者(COO)の川辺健太郎を昇格させると発表した。そのひと月あまり前の昨年12月13日、川辺は金沢市で若手起業家が集まるセミナーの壇上に立っていた。

「ベンチャー企業は大企業を倒すことができるのか。私は倒せると思います」。川辺はこんな話を切り出した。「大企業」とはほかでもないヤフーのことを指している。このとき、川辺はすでに宮坂から内々に社長就任を打診されていた。トップ就任を前になぜ未来のライバルたちに手の内をさらすのか。そこには今のヤフーへの自戒がある。

「ヤフーはベンチャーによる突き上げとテックジャイアントの板挟みにあっている」。川辺は今の危機感をこう表現してみせた。国内では今なお存在感を誇るが、米アマゾン・ドット・コムなど「プラットフォーマー」と呼ばれるグローバルな巨人にはなれず、一方でメルカリやLINEといった新興勢力の台頭を許した。2018年3月期の売上高は5%の伸びにとどまり、純利益は一時的な影響もあったとはいえ2年連続で減益となった。1996年の創業以来、増収増益を続けた「成長神話」は途切れ、足踏み状態に陥っている。

巨人と新興勢力に挟み撃ちにされる状況は、実はヤフー自らがつくりだしたものだった。その過程を検証すると、いくつかのミスが浮かび上がる。

■フェイスブックとの幻の合弁

フェイスブック最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグが、ヤフーの親会社であるソフトバンクに接触してきたのは2008年のことだ。その年の5月に来日して講演したザッカーバーグは、その直後に日本語版を公開したが、思うようにユーザーが伸びていなかった。そこでソフトバンクに合弁を持ちかけた。

ソフトバンクの孫正義は、フェイスブックのパートナーとして、グループ内からヤフーを指名した。実現すればヤフーはSNS(交流サイト)という強力な武器を手にすることになる。

だが、合弁への出資比率を巡って折り合わず時間ばかりが過ぎる。業を煮やしたザッカーバーグはヤフー側の交渉担当者だった児玉太郎を地元シリコンバレーの本社に呼んだ。「それなら君がやってくれないか」。ザッカーバーグは児玉をヤフーから引き抜き、単独での日本進出に切り替えた。児玉の陣頭指揮のもとフェイスブックは日本でも爆発的に成長した。

ヤフーでモバイル向け技術を開発していた村上臣氏

ヤフーでモバイル向け技術を開発していた村上臣氏

「これは相当やばいことになったな」。ヤフーでモバイル事業を任されていた村上臣はいらだちを隠せなかった。フェイスブックに続きLINEが台頭してきたからだ。村上はヤフー社内で度々、「サービスをパソコン中心からスマホに移行しなければ手遅れになる」と警告を発していた。だが当時の経営陣に聞き入れられず、業を煮やして2011年4月に同社を退社していたのだ。

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