2018年9月20日(木)

悲願の「1兆円クラブ」、日本精工のもう一つの顔

2018/5/11 12:30
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 日本精工が悲願だった1兆円企業への仲間入りを果たした。ベアリングを手掛ける主な日本企業で売上高が1兆円を超えたのは、ジェイテクトに続き2社目。派手な新技術やイノベーションは無いが、こつこつと磨き続けた技術が「インダストリー4.0」や「省力化投資」といった追い風をとらえた。

日本精工のボールねじは世界トップのシェアを誇る

 2018年3月期の連結売上高は前の期比7.5%増の1兆203億円。19年3月期が最終年度の中期経営計画で掲げていた目標を1年前倒しで達成した。とりわけ伸びたのが産業機械事業。売上高は2662億円と前の期に比べ17.3%増加、営業利益は93.3%増の283億円と倍近くに膨らんだ。

 日本精工には、自動車用軸受けやステアリングと産業機械という大きな2本の柱がある。あらゆるものがネットにつながる「IoT」の広がりで需要増加が続く半導体や、省人化投資が盛り上がる産業用ロボット、工作機械などの市場が軒並み空前の伸びを見せた。

 軸受け(ベアリング)国内最大手の同社には、もう一つの顔がある。工作機械や産業機械の加工精度を左右する基幹部品の「ボールねじ」で同社は世界シェア首位。福岡県と中国・瀋陽の工場の生産能力を増強し、ボールねじやリニアガイドといった精密加工部品の生産量(金額ベース)を1割引き上げる。追い風をバックに生産能力の拡大に舵(かじ)を切る。

 昨年発表したボールねじの新製品は、部材を変え固定方法を見直すことでより高速で動作できるようにしたもの。売上高目標は10億円と大型の新製品ではないが、細かな商品開発をコツコツと積み重ねて差を広げるのが同社の真骨頂だ。商品に必ずしも直結しない基礎研究を地道に続け、市場好転を確実にビジネスに結びつけている。

 9日の決算会見で野上宰門最高財務責任者(CFO)は産業機械事業の大幅増益の背景として「値上げもある」と話した。産業機械部品でも台湾のハイウィン・テクノロジーズなどアジア勢の追い上げは激しい。産業機械に欠かせないガイド製品も世界的な需給逼迫が続いており、さらなる増産を求める声もある。

 新型のホイールを手掛けるイスラエルのスタートアップ企業に出資するなど、新たな成長の糸口も探る。合併・買収(M&A)にも意欲的だが大型買収からは遠ざかっており、社内からは「リハビリが必要かも」との声が漏れる。

 同社の創業は1910年代までさかのぼる。着実な歩みが100年を越えて1兆円に結びついた。当面の悲願を達成した今、今後にどんな成長のストーリーを描くのか。日本を代表する企業の1社として、先頭に立って上を目指す道を切り開く役割も求められる。(企業報道部 井沢真志)

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