米大統領「素晴らしい合意めざす」米朝首脳会談

2018/5/11 10:18
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は10日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との史上初の米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開くと発表した。北朝鮮の非核化にどこまで具体的な道筋をつけられるかが最大の焦点。朝鮮半島を含む東アジアの安全保障情勢の重大な転換点となる可能性があり、日本の外交・安保戦略にも影響を及ぼすのは確実だ。

トランプ氏は同日夜、中西部インディアナ州での演説で米朝首脳会談は「大成功を収めるだろう」と力説。「世界や北朝鮮、韓国、日本、中国のために素晴らしい合意をするつもりだ」と述べ、北朝鮮の完全な非核化を目指す決意を示した。ペンス副大統領は同日のNBCテレビ番組で、北朝鮮に拘束されていた米国人3人の解放を評価。「北朝鮮が事態を打開する機会になるかもしれない対応をとっている」と述べた。

ポンペオ国務長官は11日、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相とワシントンで会談し、22日に予定する米韓首脳会談や米朝首脳会談に向けた調整を進める。

トランプ氏はこれに先立ち、10日未明に記者団に「北朝鮮を非核化すれば、私が最も誇れる成果になる」と語った。「金委員長は何かをしたいと考えている。北朝鮮を現実の世界に戻したいのだろう」と述べ、北朝鮮との非核化交渉に自信を示した。

首脳会談の場所を巡っては、シンガポールやジュネーブ、ウランバートルなどが候補に浮上し、トランプ氏が南北軍事境界線にある板門店に言及したこともある。シャー大統領副報道官はシンガポールに決めた理由を「米朝双方と関係がある。中立性が高い」と説明した。

首脳会談では4月27日の南北首脳会談で打ち出した「完全な非核化」の目標について、その期限や手法をどこまで具体的にできるかが最大の課題となる。日米韓3カ国は2020年ごろまでの短期間での核放棄を念頭に「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)の実現を探っている。

北朝鮮の金委員長は「段階的で同時的な措置」によって非核化をめざす考えを中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に伝えている。非核化の取り組みに応じ、制裁緩和やエネルギー支援などの見返りを受ける手法が念頭にあるとみられる。

ただ、米国は北朝鮮の核放棄を先行させ、それが実現するまでは実質的な見返りを与えない方法が望ましいとの考えを示している。6月12日の首脳会談まで1カ月あまりでどこまで調整が進むかは不透明だ。

北朝鮮が求める「体制保証」や1953年に結ばれた朝鮮戦争の休戦協定の平和協定への転換も議題になる。米国は消極的だが、北朝鮮が在韓米軍の撤退を交渉テーブルにのせる可能性もある。冷戦時代を含めて約70年にわたる米朝の敵対関係に終止符がうたれれば、東アジアで抑止力として機能している在韓米軍の位置づけも変わる可能性がある。日本政府がトランプ氏に首脳会談で提起するよう働きかけている日本人拉致問題の扱いも注目される。

トランプ氏は3月8日、先に訪朝して金委員長と会った韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の特使と面会。非核化への意欲を示すとともに核・ミサイル実験の凍結を約束した金委員長からの直接会談の申し出を受け入れた。

その後、ポンペオ国務長官を北朝鮮に3月末と5月9日の2回派遣し、調整を進めた。ポンペオ氏は10日、北朝鮮に拘束されていた米国人3人を連れて帰国し、首脳会談開催への環境整備が進んだ。

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