IHI、イタリア建設大手に2割出資、海外受注を強化

2018/5/11 7:00
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IHIはイタリアの大手建設会社、アスタルディに出資する方向で大筋合意した。投資額は百数十億円で、発行済み株式の約2割を握る。インフラ輸出をめぐる国際競争では中国や韓国の企業連合に入札で競り負けることが増えている。欧州や南米で実績と知名度があるアスタルディと組み、同社の営業網も活用して受注の拡大を狙う。

IHIとアスタルディが建設に参加したトルコのオスマン・ガーズィー橋

アスタルディの2016年12月期の売上高は30億ユーロ(約3900億円)。イタリアの建設業では2位の規模をもつだけでなく、売上高の8割を海外で稼ぐグローバル企業でもある。海外では橋梁や道路、トンネルなどの土木工事を得意としている。

国内の工事に伸びは期待しづらい。20年の東京五輪や27年の開業を予定するリニア中央新幹線といった大型プロジェクトが一巡すれば、さらなる海外シフトは避けて通れない。満岡次郎社長も年初のインタビューで「新設があるのは海外。グローバル展開ができるような形にしたい」と話していた。アスタルディとの資本提携は地ならしの始まりといえる。

橋梁の海外展開を進めるIHIとは、トルコで16年に開通した世界4位の長さのつり橋「オスマンガーズィー橋」の建設に共同で参画。18年1月に受注したルーマニアのドナウ川を渡る「ブレイラ橋」でも共同事業体を組むなど、もともと関係が深い。IHIは取締役の派遣も検討しており、資本参加によって関係をさらに深める。

安倍政権は成長戦略としてインフラ輸出を20年に10年比3倍の30兆円まで拡大する目標を掲げる。ただ、原子力発電所や火力発電所は環境への影響を懸念する国際社会の逆風が収まる気配もない。いきおい高速鉄道や橋梁などに期待が高まるが、最近は攻勢を強める韓国や中国勢に競り負ける場面も出てきた。

17年にトルコ政府が発注した世界最長のつり橋ではIHIなどが応札したが、韓国のSK建設などの連合に敗れた。従来の技術力を売りにした営業戦略には限界が見えた。インフラ事業の海外展開にはコスト競争力に加え、現地での事業運営力なども総合で見られるため、現地に基盤のあるパートナーが不可欠だ。

土木工事では商慣習の違いもあり、安定して事業展開するには現地の建設会社との連携が欠かせない。アスタルディはトルコや北アフリカ、米国、南米などに協力企業のネットワークを築いており、頼りになる存在となる。優良な企業網をアピールすることで大型案件の受注競争で有利になるうえ、資材の調達によるコスト削減なども見込める。

橋梁事業を含むIHIの社会基盤・海洋事業は、大きな損失を出した船舶用の液化天然ガス(LNG)タンクの製造から撤退するなどして事業規模が縮小。19年3月期の同部門の売上高見通しは1500億円と18年3月期より3%減りそうだ。

橋梁事業はこれまで堺市にある子会社のIHIインフラシステムを中心に国内向けの製造を軸としてきたが、今後は設計請け負いビジネスを中心に据え、海外で事業拡大を目指す姿勢を打ち出していく構えだ。(企業報道部 朝田賢治)

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