2019年7月24日(水)

日本の色紙、中国人の心を包め 特種東海製紙が進出

2018/5/10 16:25
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日本の「色紙」で中国市場を攻めろ――。製紙国内8位の特種東海製紙は10日、4月に書籍や包装用に使われる高級紙で中国に進出したと発表した。鮮やかで繊細な絵柄や色彩など日本流の技術を生かし、中国人が好みそうな商品を開発。経済成長で平均所得が高まるなか、高級な包装用紙を使いたい中国人が増えるとみる。3年後に年10億円以上の販売を目指す。

特種東海製紙は中国向け高級紙の専用商品を開発した

「日本の独自技術を生かし、中国の紙にない特長をアピールしたい」。安武政司・海外事業部長は10日、都内で開いた記者会見でこう力説した。

特種東海が生産するのは「ファンシーペーパー」と呼ばれる高級紙。日本国内では年間数万トンが生産・販売され、商品を包む包装紙や書籍の表紙などに使われる。特種東海は約5割の国内シェアを持ち、大王製紙王子ホールディングスを上回って国内首位だという。

中国参入にあたり、4種類の専用商品を開発した。紙の形状が崩れにくいなどの基礎技術はもちろんのこと、赤など中国人が好む色合いのほか、草木など自然をイメージした柄に仕上げた。「エンボス」と呼ばれる複雑な凹凸を表面につくることで、模倣品がつくられないよう工夫しているという。

特種東海が10%出資する台湾の中日特種紙が上海に持っているグループ会社のチョウギ特種紙と業務提携。日本で生産する紙を輸出し、現地で販売してもらう。

「中国では高級な紙が多く使われるようになっている」と安武部長。お酒や食料品などの贈答向けに、箱に張り付けて使用したりする包装用の需要が増えているという。

4月に上海や深圳などで3回のイベントを行った結果として、5~6月に100トンの受注を見込む。2019年3月期は年200トン、3年後に年1千トン(売上高10億円超)の販売を計画。販売数量が増えれば、中国に販売会社を設立するほか、現地での生産も検討する。

特種東海の分析によると、中国のファンシーペーパー市場は年間20万~30万トンあるもよう。日本の製紙会社も販売代理店を通じて一部で輸出していたが、本格的な展開ができていなかったとみられる。日本から輸出するとコストが高くなることも障壁だった。特種東海は現地企業と組むことによる詳細な市場調査を通じて勝算を感じ取った。

だが中国の高級紙市場では欧州系の製紙会社がすでに参入しており、特種東海によると、販売量は年間1万トン弱ほどあるとみられる。「当社の紙の品質は欧州企業と同等以上だ」と安武部長は話すものの、認知度では欧州企業が上回っている。特種東海の中国開拓では、まず知名度の拡大が第一の関門となりそうだ。

日本では電子媒体の登場を受けて紙の需要が急減しており、業界統計によると、国内の紙(板紙含む)需要は18年に8年連続で減少となる見通し。国内製紙会社が生き残るためには海外に進出するしかない。特種東海が高級紙で中国人の心を包むことができるかどうか。新たな挑戦は業界の注目を集めそうだ。

(渡辺伸)

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