ゾゾスーツ対抗の自動採寸技術 「水玉模様」も不要

2018/5/10 20:00
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日経クロステック

カスタムメイドシャツのオンライン販売サービスを手掛ける米オリジナルは、人体の全身写真に基づいて体の各部位を自動計測できる身体採寸アプリ「Bodygram(ボディーグラム)」を開発した。計測用のメジャーや専用衣類などが不要で、スマートフォン(スマホ)で全身写真を2枚撮影するだけで採寸が可能。2018年夏のサービス提供開始を予定している。

オリジナルが開発した自動採寸アプリ「Bodygram」の概要 全身写真と身長・体重データに基づいて骨格を検出し、全身40カ所を自動計測する(出所:オリジナル)

オリジナルが開発した自動採寸アプリ「Bodygram」の概要 全身写真と身長・体重データに基づいて骨格を検出し、全身40カ所を自動計測する(出所:オリジナル)

今回同社が発表した技術の特徴は、専用計測器や特別な手順を踏まず、スマホ1つで簡単に自動採寸が可能なことである。採寸の手順は、正面と側面からユーザーの全身を写す写真をスマホで1枚ずつ撮り、身長と体重をアプリに入力するだけ。撮影した画像の背景から被写体の体の領域を自動で抽出し、身長と体重の情報と組み合わせて骨格を検出して肩幅や首周りの長さなど全身40カ所を採寸する仕組みである。

測定時の服装や姿勢、撮影時の背景などの制約が緩く、様々な条件下で高精度な採寸が可能という。同社は現在、米国特許商標庁にBodygramの技術を実用特許出願中である。

正面と側面の2枚の写真から人物の領域を抽出する。撮影時の服装や背景などの制約はほとんどないという(出所:オリジナル)

正面と側面の2枚の写真から人物の領域を抽出する。撮影時の服装や背景などの制約はほとんどないという(出所:オリジナル)

オリジナルはシリコンバレー発のスタートアップ企業で、2014年からカスタムメイドシャツ専門の通販サイト「Original Stitch」を日米で展開してきた。Bodygramはもともと、「ユーザーが既に持っている服と同じ寸法のシャツを製造する」ために同社が開発した画像認識技術で、2017年8月に同サイト上で日本国内向けにサービスを開始した。ユーザーが私物のシャツをA4用紙と一緒に撮影し、画像をアップロードすると、そのシャツと同じサイズのカスタムシャツを新たに注文できるサービスである。服のサイズを自動計測する当初の技術を、人体の計測に発展させたのが、今回の新技術というわけだ。

アパレル分野の採寸サービスで重要なのが、採寸精度と採寸の手間、そして採寸データに基づく衣類販売のエコシステム形成である。同分野で先行するのが、ファッションECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイだ。同社は2017年11月22日、複数の伸縮センサーで体の各部位を計測できるボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布を発表した。

その後注文が殺到し、量産に向けたコスト削減で難航した同社は、ZOZOSUITを伸縮センサーによる方式から画像認識でマーカーを読み取る方式に転換。2018年4月27日に、黒地に白い水玉模様のマーカーが付いた新型ZOZOSUITの出荷を開始した。

ZOZOSUITと今回オリジナルが発表したBodygramは、画像認識ベースである点は共通するものの、採寸時の手間はかなり違う。ZOZOSUITの場合、スーツを着用して全身の写真を周囲から12枚以上撮影する必要がある一方、Bodygramは普段着のまま、全身写真を2枚撮影するだけでよいからだ。採寸が手軽なほどユーザーの負担は減り、これまでアパレル通販を利用してこなかった層の獲得にもつながりやすくなる。

スタートトゥデイもこの課題を認識しており、2018年4月27日に開いた決算発表会では、ZOZOSUITの撮影回数削減に向けた検討や、マーカーの不要な採寸手法の可能性を同社代表取締役社長の前沢友作氏が語った。

スタートトゥデイは、ZOZOSUITの計測データに基づいてプライベートブランド(PB)衣類を注文したり、他ブランドの衣類を自分サイズで検索したりできる環境構築で先行する。オリジナルも、他ブランドやショップに独自技術をライセンス供与する計画で、利用可能な衣類のラインアップ拡大を目指す。

(日経 xTECH 内山育海)

[日経 xTECH 2018年5月9日掲載]

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