2019年8月25日(日)

地域で異なる「のし紙」文化(もっと関西)
とことんサーチ

2018/5/10 17:00
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結婚式のお祝いのお返しである内祝いをした知人から、ギフトを包む「のし紙」の様式が関西と関東では異なるという話を聞いた。在阪の百貨店担当記者として、捨て置けない話だ。取材先に聞いたところ慶事のほか、弔事でも関西と関東ではのし紙の様式にいくつか違いがあるという。どういう違いなのか、調べてみた。

■関西、表書き多彩

まずは関西と関東でのし紙の様式の違いを把握するため、高島屋大阪店(大阪市)の7階ギフト売り場に足を運んだ。全国展開の高島屋なら、西と東の違いに詳しいはずだ。

「のし紙の様式は関西と関東で地域差がありますよ」と同店ギフト担当の佐藤喜子さん。例えば、結婚祝いの表書き。「御結婚御祝」は関西では多いが、関東では「寿」が多い。このほか関西は四文字を避けるため内祝いで「結婚之内祝」とする人も多いが、関東では「結婚内祝」を用いる場合もある。

さらに「もっと違いが大きいのは弔事の際の香典や供物のお返し」(佐藤さん)。四十九日の法要後に返礼の品物を送る香典返しでは、のし紙(かけ紙)の表書きは関西では「満中陰志」とするのが一般的だ。これに対して、関東では「志」の一文字にする場合が多い。

のし紙の順番も、関西はのし紙を巻いてから外部を包装紙で覆う「内のし」が通常なのに対し、関東では包装紙の外側にのし紙を巻く「外のし」が多い。

飾りの帯ひもの「水引」も関西では黄色と白5本で鮮やかだが、関東では黒白が多い。

お祝いや弔事など贈答のマナーは地域によって様々だ(近鉄百貨店あべのハルカス本店)

お祝いや弔事など贈答のマナーは地域によって様々だ(近鉄百貨店あべのハルカス本店)

こうした関西と関東の一連の違いはどこに起因するのだろうか。ギフト担当者向けの講師を務めるディンプル(大阪市)の柚木景子さんは「関西は昔からの伝統が引き継がれているのに対し、全国から人が集まる関東はわかりやすさを重視するようになった違いではないか」と説明する。

例えば、関西では弔事の香典返しは「満中陰志」、特に神式では「偲び草(しのびぐさ)」など場面によって細かく使い分けるが、関東では「志」でまとめることが多い。

■「内のし」汚れ防止

関西で「内のし」が多いのも、のし紙が汚れないことを重視しているのに対し、関東は外見のわかりやすさを重視して「外のし」を選ぶとしている。

さらに関西の「水引」の色が鮮やかなのも、宮中で昔使われた漆塗りの供物台に香典をのせた時に香典の有無をわかりやすくするため、という説もある。

このように伝統を重視する関西の姿勢が、のし紙の様式に反映されていると言えそうだ。

関西では「他の地域に比べて、域内各地で異なる独特の慣習もある」(近鉄百貨店あべのハルカス本店の岡田英次ギフトセンター係長)。例えば、大阪南部や和歌山、三重県の一部ではお祝いののし紙の表書きを黒ではなく、朱色で書く場合が多い。京都では出産の内祝いの際に、のし紙に赤ちゃんの写真や名前を記入した「ベビーカード」をつける慣習がある。

30代の京都の女性は「東京の百貨店で出産内祝いのベビーカードを取り扱っておらず、他の地域ではあまりない文化と初めて知った」と話していた。

域外と域内で見られるのし紙の違い。近鉄百貨店の岡田係長は「長年ギフトの担当をしているが、各地の慣習を初めて知ることが今でもある。本当にのし紙の世界は奥が深い」と、しみじみと語っていた。

(大阪経済部 荒尾智洋)

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