拉致被害者、米国人解放を評価 「日本人はどうなる?」
北朝鮮に拘束されていた米国人3人が解放され、帰国の途に就いたことを受け、日本人拉致被害者の家族から「非常にいい流れ」と評価する声が上がった。米朝首脳会談を目前に控え、高齢の被害者家族の期待は大きい。だが、突然のニュースに「経緯が不明で、影響が読めない」「誠実なふりをしているだけ」と警戒する意見もあった。
横田めぐみさん(失踪当時13)の母、早紀江さん(82)は10日朝、「どんな国の方でも、拘束から解放されたのはうれしい」と喜んだ。ただ「本来は北朝鮮が当然すべきこと。解放のいきさつも分からず、日本人被害者がどうなるかは分からない」と心境を明かした。
増元るみ子さん(失踪当時24)の弟、照明さん(62)は「経緯は不透明だが、北朝鮮は米国に誠実なふりをしているだけに見える。だまされてはいけない」と厳しい見方を示した。
照明さんは「米国人解放が日本人拉致被害者に与える影響はない。日本政府は全ての被害者が即時帰国できるよう、これまで以上に全力で臨んでほしい」と訴えた。
1983年に失踪した有本恵子さん(失踪当時23)の父、明弘さん(89)は「拉致問題解決のためにも非常にいい流れ」と感じたといい、「トランプ米大統領の強い姿勢の成果。このまま解決に向かってほしい」と期待を寄せた。
6月に予定される米朝首脳会談を「娘たちが帰還する最後のチャンス」と受け止める。明弘さんは「家族は見守ることしかできない。米国に続く形で日本も北朝鮮と直接交渉してほしい」と求めた。